KKP #5 「TAKE OFF」東京千秋楽

行って来た。
ご存知の方はご存知でしょうが、わたしは舞台の感想とか本気で書き出すと面倒臭いことまで書いてしまう人間なので、あんまりここでは書かないでおこうと思っている。でも、メモだけはしておこうと思う。畳んでおくので、未見の方は自己責任で、ひとつ。
楽しそうだったなー小林さん。とにかく楽しそうで、しかしながらこの「楽しそう」が、ラーメンズのときの「小林賢太郎一人で大暴走」みたいなのとは違う感じに見えたのが今回の舞台の面白さだった。つまり、小林さんが暴走しているというよりも、残り2人も一緒に暴走、結果、単なる逸脱になっていた、と。逸脱も、疾走感があると面白いじゃない。そういう感じの楽しさだったなあ。
セットが機能的な感じのシンプルさで、これまでのKKPの「そのまんまを再現する豪華さ」とベクトルが変わっていたのが印象的だった。どうとでも取れるセットにしておくことでいろいろな場面を表現できる、というアプローチは非常に演劇的で、「12秒」を実際の12秒で表現するところとか、STOMP まがいの転換で時間経過を表現するところなど、「演劇ユニット」を標榜する KKP 第5弾にして一つの到達地点のようにも思った、って何か偉そうですけども。
ただ、「演劇」として見ると弱いところもたくさんあって、個人的な好みで言えば、物語がシンプルすぎた。キャラクターを言葉で説明しすぎているとか、挿入歌は格好いいけどあんまり舞台全体のトーンと合ってなかったとか、キーワードをまんま何度も劇中で繰り返すのがわざとらしいとか、大事な台詞をさも大事そうに発語する演出はどうなのかとか、好みとして思うところはたくさんあった。
何よりシノダの改心のところらへんが。それまでアビル視点で語って来ている中で、シノダの「揺れ」が全然描けてないから、急に悪くなって急に改心して、と唐突すぎ。このへん、「演劇」としては致命傷なように思える。
だけど、楽しかったんだなあ、客席にいて。これは完璧に、舞台上の3人のコンビネーションによるものだったと思う。だって話の本筋部分よりも、逸脱して笑いに走っている箇所のほうが、3人ともイキイキして見えるんだもの。その「イキイキ」がこの舞台の魅力だったと思う。だからわたしはこの舞台の脚本を読みたいとは思わないけど、この3人の舞台はまた観てみたいと思った。そういう「楽しさ」を堪能した舞台でありました。
そう言えば演出家せんせえ、カテコでこんなようなこと言ってたっけ。

  • いつも東京公演では、千秋楽の前の日にカメラを入れるのだけど、きのうは撮影入れてなかった。
  • アンケートなんかでも「もう1回見たいから映像化してほしい」という意見を多くもらっているが、どうせ見るなら生のほうがいいでしょ?
  • 詳しくはまだ言えないけれども、役者3人、まだ TAKE OFF やり足りていない。
  • 本当に実現できるかはまだ分からないけど、色々と調整中なのでお楽しみに。

果たしてこの後に何が来るのか。「TAKE OFF」だっつうんだから、普通に考えたら追加公演なんだろうけども、すごく大きなところで1回ぶち上げたりするのかなあとか、それともシリーズ次作みたいなことなのかなあとか、色々想像は尽きない。
でもま、告知されるまで分かんないので、これ以上はアレコレ考えたりしないんだろうな、わたしは。うん、それでいい。