本願寺に行って来た。やー楽しかったあ。入場時の仕切りがひどくて、悪意はなくてむしろ客の善意を勝手にアテにしてる感じのゆるさだったんだけど、そういうところでゴリゴリ勝手なことをする人もいる訳で、なんかスタート時点でものすごくイラっとなったりもしたのだが、でも中身は楽しかった。
ロマンポルシェ。は初見だったんだけど、笑ったなあ、ああいう芸風(芸人扱いされることをネタにしていた)だったんですねえ。途中で2人がTシャツを脱いで、っていうか、破り脱いだんだけど、掟さんがそれを客席(桟敷にべたっと座っている)に投げ込むと、わたしの後ろのほうにいた女の子のところまで飛んで、彼女は「イヤー!」と声を上げてました。イヤって。掟さんの歌がまた上手いったらない。そこも笑いどころって感じで、無茶苦茶楽しかった。
古内東子女史もね、歌詞がすごく面白かったです、なんか恋愛の面倒くさい感情だけをすごい執念で言葉に置き換えている感じで。あのような歌詞ばかりを好んで書き、好んで聴く人がいるという事象そのものが妙に面白くて、揶揄とかじゃなくて、ずっとにやにや笑っていた。音的にはとても端正でちょっとアーバンなカッコよさが。照明も彼女のときだけ使った、燃えるようなオレンジ色の灯りがエロかったなあ。そのトータルのバランスがすごく面白かった。
ジム・オルークエマーソン北村は、寺備え付けのパイプオルガンで生演奏。エマーソン北村はメロディのはっきりした聴きやすい、楽しい感じの曲が多かったのに比べ、ジム・オルークの演奏はすごかった。単音のロングトーンが延々続くの。聴いてる間に時間の感覚とかがなくなって、妙にふわっとする感じが訪れた頃に、やや音階が動いたり、もう一音が重なったりする。メロディというのとは違う、ビートの感覚もない。敢えて言うなら、ゆっくり流れる川の音とか、そういうのを再現してるみたいな感じだろうか。非常に面白かったし、気持ちがよかった。気持ちが良すぎてちょっと眠ったけど、その眠くなる感じも、退屈してってことじゃない眠くなり方だった。なんか上手く言えないけども。
トリが向井秀徳アコエレ。マーシャル2発持ち込み、テレキャス1本。舞台と客席(桟敷)の高さの差が15cmくらいしかなく、エフェクターボードが丸見えという珍しい形勢で堪能した。比較的、絶叫しない、メロディのあるタイプの曲を重視した選曲だった気がする。その場で弾いたフレーズをサンプリングしてループさせて音を重ねる手法を使わない曲が多かったのかも。すごくシンプルな音で、がっつり歌っている印象だった。「ロックトランスフォームド状態におけるフラッシュバック現象」を生で聴けて嬉しかったなあ。あとは「Days of NEKOMACHI」から始まって、重ねまくった「CRAZY DAYS CRAZY FEELING」、クリアトーンの「KU〜KI」…らへんをやっていた。「自問自答」とかやってなかったなあ、「Water Front」で4重に重ねたリフをループさせたまま、帽子を取って本尊に一礼して立ち去っていた。そこにローディの人が来て、アンプのボリュームを手動でフェイドアウトさせて終了、みたいな。
こう、今日のばらばらな出演者のライブを通して観て分かったんだけど、わたしはやっぱり面白いライブが好きなようだ。別にコントをやってほしいとかじゃなくて、いや、やってくれてもいいんだけど、それだけじゃなくて、わたしが見たことないものを見せてくれるライブが好きなんだと思う。向井アコエレがたまらんのも、笑ってしまうからっていうのが大きいんだなあと再認識したよ。
ギターを爪弾きながら、奇妙なデスマス調と体言止めだけで淡々と喋る語り口もおかしいし、その状態で「フェイドアウト」と突然説明して声とギターの音を小さくしてったりするのも、真面目な顔をして冗談言ってるみたいで妙に笑える。大体、「社会の窓が開きっぱなし」とか潰した声で叫ばれたら普通は笑う。その「笑う」感じと、「わーっと来る」感じがリンクしてるからたまんないっていうことなんだろう。笑えるのに格好いい。これは多分、最近のわたしがライブを好きなミュージシャンの共通項だ。