早速帰りに「鉄コン筋クリート (1) (Big spirits comics special)」を買おうと思ったんだけど…本屋にないのな、「ピンポン」はあんのに。なので漫画喫茶に寄って全3巻読んで来た。
いやあ…これは…痛い話だなあ。過酷な街で誰にも頼らずに2人きりで生きている、庇護者・クロと被庇護者・シロの関係がメインになっている訳だけども、クロはシロを庇護することに自分の存在価値を見出していて、結果的には、シロがいるからクロが生きていられてる、っていうね。シロが沢田に言う、「クロにはいっぱい足りないねじがある」「自分(シロ)にも足りないねじはあるけれど、自分はクロに足りてないねじを全部持っている」っていうのがね…すごい愛の言葉だなあと思って、泣く、とかじゃなく、何かもう、わあ、って胸が一杯になった。
夜になると理由もなく寂しくなって涙を零すシロ、そんなシロのためにランドセルを盗んできて、夜の学校に連れて行ってあげるクロ。何かもう、そこには愛しかないし、だからこそ逃げられなくって、クロは追い詰められてみたりもする。「ピンポン」の後にこの作品の連載が始まって、最初はスマイルとペコが転位してクロとシロになったってことかな、って思って読んでたんだけど、もっと切実でもっと厳しいものがあるって途中で気付かされた感じだった。ラストが、何かこう…救いと見ていいのか、狂ったクロの妄想とかじゃないのか、信用しきれない感じがして、痛くて痛くて仕方がない。
朝と夜とのシーンとかよかったなあ、敵対してたのに打ち解けて、最後にシロが贈り物をしようとするところ。朝と夜が街で暮らす子供ならではの嗅覚で、そんなシロにクロはダメだ、クロはシロと違いすぎる、自分たちと一緒に来たほうがいい、って言うところ。そう言われてもシロは怒りもせずに、静かな顔でクロと一緒にその場を去るところ。あと、沢田が新人類(古い!)みたいな、不可解な存在として描かれていたのが、シロの世話を焼く間に人間らしくなってゆくところ。そんな沢田に、「沢田にも足りないねじがある」「沢田はクロに似てる」って言うところ。沢田はなんか、連載リアルタイムで読んでた頃より、今のほうがクるキャラクターかもしれない。やたらよかった。
他にも、周囲もちゃんと皆、しんどさを抱えている人たちばかりでものすごくいいんだよなあ、ヤクザサイドでは鈴木(ネズミ)と木村、警察サイドでは藤村と沢田…じっちゃんは達観してるからともかく、チョコラなんて「ピンポン」で言うところの大田キャプテンみたいな感じで、凡人の切なさを一手に引き受けているし。映画では多分、今ここに名前を挙げたキャラのどれかを宮藤さんがやっているのでしょう。どれだろ。田中さんは多分じっちゃんだよねー。宮藤さんの声はあんま年齢行ってる感じはしなさそうだからな…木村か沢田? でもなんか、沢田だったらいいなあ、宮藤さんと優ちゃんの声で、あの沢田がだんだん人間らしくなってくシーンが観られたらすごく嬉しいかもしれない。あとは意外なところでネズミだったりしたら多分悶える。(えー
体調悪。書きかけたままのメールが2通あるのだけども、もう風呂入って暖まって寝なきゃだ。