拝啓、父上様

例えば、飲み屋の客が説明的な台詞を喋るシーン。ああいうところで台詞のトーンが崩れないところにこのドラマの描いている世界の強度を感じる。
大体、テレビドラマは役者それぞれの間とか口調とかで芝居をするのを許してることが多いように思う。いい芝居の人とそうでもない人、むしろ物語世界を壊すような芝居の人、と、ちぐはぐになるのを大目に見ることが、テレビドラマを見慣れる、っていうことのような気がする。
このドラマとか、「渡る世間」とかは、トーンにブレがない。演出が相当徹底しているのかな。それをよいと感じる人も、よくないと感じる人もいるだろうけど、演出に対するニ/ノ/ミ/ヤくんの反応のよさはしみじみ分かる。今更だけど、彼はよい役者なのですね。
そういう意味では、構造や台詞自体に力があるような作品を書く脚本家のドラマは、どうやったって物語世界がちゃんと出来上がるんだろう。前者としては三谷幸喜、後者としては宮藤官九郎、って感じか。
正直ね、ほどほどのドラマとかもう見飽きているので、こういう求心点が何かしらあるドラマじゃないと楽しめないんだよね。池鉄が出てるとか、石田ゆり子の髪型がかわいいとか、そういう理由でドラマを観たりもするけど、そんなの別に楽しかぁないのよ。
八千草薫 vs 森光子の、役の上では愛人 vs 本妻の「年齢考えたらおっかないよ!」対決はちょっと見ものだった。あんなデキた正妻いるもんかい。ちょっと倉本聡の夢見がちなところがあらわれてておかしかったなあ。梅宮辰夫も久々にいいし、高橋克実もはしゃいだりしなくて実に渋い。わたしは好きです、このドラマのトーン。
ちなみに今日は池津さんも芸者姿で登場しておったよ。ああやって見ると顔が平らなお方…(ひどい!(でも大好きだ!