{magazine] 朝日新聞「CM天気図」で天野祐吉がアップルCMのラーメンズについて言及

わたしの広告業界に対する知識って90年代ですっかり停止しているんですが、その範囲で言えば、天野祐吉がべた褒め! さすがラーメンズ! みたいなことなんだと思う。まあ、「広告批評」の系譜ってことかにゃあ、島森さん、あいしてるもんね、ラーメンズのこと。
一般的に言って、このコーナーはいつも、普通に偏向薄くテレビを観てる人が目に留めている CM に関して、「そう、それ、気になってたの!」っていうのをタイムリーにすくって来るのが上手いコーナーなので、MacタンとPCタンはそんなにお茶の間で浸透してるのかー、と、改めて変な感心を覚えた次第である。
しかし、今確認したらこのコーナーはネットでは読めないのですね。じゃあちょっと内容触れておこうか、ってなことで、書き出しはこんな感じだ。

テレビは芸とソリが合わない。だいから落語にせよ漫才にせよ、ちゃんとした芸を楽しもうと持ったら、テレビを消して小屋へ出向くに限る。所サンや爆笑問題が面白いのは、芸が面白いのではなく、当意即妙、リアクションのセンスが面白いのだ。無芸の芸の面白さである。
だから、ラーメンズがテレビやCMにあまり顔を出さない。あの2人(小林賢太郎片桐仁)の面白さはイッセー尾形と同じで、ナマの舞台でしか味わえない面白さだ。

すごい、大上段構えまくり。「芸」を敢えて狭義に設定してるところとか、なかなか挑発的な論調のコラムになってる。天野さんはラーメンズがとても好きなのだなあ、ということがしみじみ伝わる感じだ。
しかし、この論調で行くと、天野さんが言うところの「ナマの舞台でしか味わえない面白さ」を、映像商品としてリリースしまくってる彼らの方針についてはどう捉えろというのか? テレビを観るのと同じノリで「小屋へ出向く」ことができる立場の人間が、日本の人口の何パーセントいるのか、とか、要らんことまで考えてしまう。この論調、選民意識を抜いてフラットに考えることができるのかなあ?
何より、ラーメンズの面白さを語るために、テレビの面白さを必死で支える「芸」人たちを貶めることはないと思うのですよ。あれはあれで、「芸」のひとつの形じゃないのかしらん。この言い種はなんか、天野さんらしくもない、とか思ってしまったのだけども。んー。
いずれにせよ、天下の朝日新聞生活面、もう20年近く以上続いている連載で、本公演の始まる2日前にこういったコラムが出る、ということの意味を思うと、広告ってやつあ、と思うのです。水野さんが考えた格好よすぎるコンセプチュアルな媒体広告だけじゃない、こういう「文化人」が自主的に宣伝活動をしちゃうというのがラーメンズの特殊性≒ブランディング。だから変な企みよりも、面白さで圧倒してくれればそれでいいんではないのかと思う。
久々の本公演、これでも、ホントに楽しみにしているのよ、わたしは。初日はもはや明後日である。