ヘブン…(鈴木志保)

ヘブン…

ヘブン…

id:ko-motoさんがご親切にコメントで教えてくださって、こないだセブン&ワイで購入。ここのところでid:mou-mouさんとか、お友達たちが軒並み触れてらっしゃるのでわたしも書いておこうかと。
誰かも書いていたけど、これはゆっくり読みたいなあと思っていた。なので旅に持参、昨晩京都で読み終えたという感じ。
まず、感想としては、想像以上に「船を建てる 1 (ぶーけコミックス)」と近い世界を描いた作品だった。間に「ちびっき」とかしか出してなかったから、鈴木志保さんはもう、「船を〜」みたいな作品とは決別したのかと勝手に思っていたので、ちょっと衝撃を受けた。あのブローティガン的世界がまだ読めるなんて! という、嬉しい衝撃。
「船を〜」を文庫化とかしないのが作者の意図なのか、とお友達の日記で触れてらしたのだけども、あの時期って出版社が作家を囲い込んでたから、契約上の問題とかもあるのかなあ、と思ったり、思わなかったり。まあ、細かいことはよく分からない。ただ、これだけ相似的な作品を現在も描いているのに、「船を〜」だけ封印したい、というような意向を作者が持ってるというのは何かぴんとこない話、というだけなんだけど。
「船を〜」もそうだったのだけども、何度も、何度でも読み返して、この作品のリズムが体に沁み込むまで、何度も、何度でも読み返すべき漫画なので、1回読んだだけで簡単に感想とか書けるのは「船を〜」に近い、というくらいのことだ。だけど、世の中にハッピーとかラッキーとかいっぱいあるよね、という裏側にあるもののことをいつも意識せずにいられないような、寂しさをお腹のどこかに抱え込んだまま大人になってる人にとって、ずきずきするくらい切ないモチーフが断片的にコラージュされている点は「船を〜」同様凄まじい。
これを痛いと感じる人、痛いことを厭わない人、自分自身の悲しさや切なさに気付かない振りができない人の気持ちには何かしら、相応に大きな作用を持つ作品だと思う。反面、分からない人には本当に分からないと思うから、ぴんと来る人だけ読めばそれでいい作品のようにも思う。
これを読んだら、ブローティガンが読みたくなった。今家にあったかなあ。そう言えば、松尾スズキブローティガンに影響を受けているんだったっけね、主に大人計画の初期作品はね。
あ、あと、お友達で「船を〜」を読みたい方、ホントお貸しするんでおっしゃって。6冊揃ってます。ええ。