今日までだった
わーぎりぎりだ。
これって何でもいいから Amazon 商品として映画紹介すればいいのかしら。アカデミー賞なら洋画のほうがいいのかな。じゃあ、これでどうでしょ。
- 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
- 発売日: 2004/09/17
- メディア: DVD
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娼婦、物売りの子供たち、シクロドライバー、蓮摘みの少女らが登場し、それぞれの物語を淡々と紡ぐ作中で、ハーヴェイの演じる役は、戦時中ベトナム女性との間に子供をもうけたものの、終戦と同時にアメリカに帰国してしまった米軍人。物語のメインストリームを担当する役ではないのだけども、画面にじっとりと湿度が滲むベトナムの風景に、ぽかんと存在する「アメリカ」である彼の抱える罪悪感の大きさが、あの眉間の皺にぎゅうっと込められていてたまらなかった。
それから、ベトナム人たちの暮らしのたくましく、美しいことったら。蓮がひっそりと咲く早朝の沼、小船に乗った蓮摘みの女たちが仕事の合間に歌う甘い旋律。病を患って隠遁する詩人が、蓮摘みの少女を東屋に招き入れるシーンの丁寧さは今でも鮮明に覚えている。体を武器にのし上がろうとする売春婦に恋をするシクロの運転手(名前覚えてない)も切なかったなあ。
ベトナムの風土や空気感、人々の価値観が映像に現れていて、でも、サイゴンは欧米化しつつあり、その急激な変化による貧富の差などの軋轢もきちんと描かれている。現状をしかと見つめた上で、それでも強く、懸命に生きる人たちの姿を、淡々と切り取ってる映画。映像の美しさもあって、じんわりと沁みる感じ。
アメリカ映画で何か、と思ったとき、コーエン兄弟の映画もいいなあとか、ラッセ・ハルストレムにしようかなあとか、ちょっと迷ったんだけど、偶然にもさっき本棚で吉野朔実さんの映画評の本を手に取って、この映画の項を読んで、もう一度観たいなあと思っていたところだったんで、丁度いいや、と。そもそもこの映画をレンタルで観たのって、この本のお陰だったんだ。「オススメとしてだけじゃなく、こいつがススメる映画は観ないほうがいい、みたいに使ってくれても結構」という、非常に信用できるスタンスで綴られた一冊なので、こちらも併せてご紹介しておこうと思う。
- 作者: 吉野朔実
- 出版社/メーカー: PARCO出版
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
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