きのうから今日
2冊読了。
- 作者: 松尾スズキ
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2004/03/30
- メディア: 単行本
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小説というより、スケッチ集、モチーフ集っぽかった。これらのパーツパーツを取り出して、2時間の芝居にも、200枚の小説にも組み立てることが自在にできる感じ。そういう意味では、「つくるひと」としての松尾ちゃんのインナーワールドをひたすら文字起こしした感じかも。
日本文学は私小説の系譜が強いから、やっぱり小説に作者の自叙的要素を探してしまうのが読者のサガというやつだ。それを巧妙に避けるために、敢えて自叙的要素をチラつかせてるのは面白かった。チラつかせてるのが本当の自叙なのかダミーの自叙なのか、途中までは本当で途中からはダミーにすり替えたのか、いい感じに混乱を誘ってる。その混乱が気持ちよかったなあ。
…と、こういう「手法」として楽しんでしまったのは、わたしが松尾ちゃんの舞台作品を何本も観ていて、彼のテイストに慣れすぎているせいかもしれない。むしろ、松尾ちゃんの舞台やエッセイに触れたことがない人がこれを読んでどう思ったのか、どっかで聞いてみたいな。合う人と合わない人で、ぱっきり評価が分かれたんじゃないだろうか。そんな気がする。
ちなみに、文中でちょっとだけ、阿部サダヲ、宮藤官九郎をモデルにした人物が出てくるんだけども、その2人のでたらめさが素晴らしかった。でも、この、明示的に阿部さんをモデルとした「知念サダヲ」より、前半で出てきた「カネコ」のほうが、わたしの中では阿部的だった。カネコの台詞、わたしの脳内ではサダヲ声で聴こえてたからね。松尾・宮藤作品で、阿部さんがよく振られるタイプの路線のキャラクターだなあ、とニヤニヤして読んだ。
- 作者: 白倉由美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/10
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詳細は Wiki 的なものでご確認いただくとして、あれね、自分が子供の頃に極端に影響を受けたものを大人になって見返すと、色々思うところがあるね。女性のお洋服の描写の中に、「どんな色の」「どんな形の」という以外に、必ず「どこのショップの」「どこのブランドの」という描写も入っているのに笑った。
この人の描く世界は、情緒に流されやすくて多感すぎるわたしの少女時代のオオモトだ。読んでてとにかく赤面続き。でも、思ったより「小説」だったし、前評判ほど私生活暴露的な、露悪的な感じはしなかった。大体、白倉さん自身が作中の麻巳美どおりだったら、こういう風に己夫婦を描くことはできないんだろうし。ただまあ、当時から美人として有名な人だったけど、自己愛やや強めだなあ、と麻巳美の描写に苦笑しちった。
あと、多分麻巳美の名前はおニャン子の高井麻巳子*2から取ったんだろうなーと思うけど、どうなんだろ。一応、これ以前にも「大塚麻巳子」という筆名を使ってたらしいんだけども。