あ、去年の昨日と今日、山賊ツアーの AX だったなあ、と昼間急に思い出していた。13日は清志郎を久しぶりに観たー、って大喜びしていたのだな、松尾ちゃんと清志郎の「デイドリーム・ビリーバー」を聴いて昂奮してね。確か、「課外授業〜ようこそ先輩」の松尾ちゃん出演回がこの日で、放送時間がずれて「えー」とか騒いでた気がする。14日は吸収九州ギャザーが。向井徳次郎を初めて観た*1記念すべき日だった。
で、その番組の本が出た訳ですね。

課外授業ようこそ先輩 12歳の大人計画

課外授業ようこそ先輩 12歳の大人計画

やとアマゾンに登録が。今日買ったんだけど、まだ中谷インド記の最終巻を読み途中なのでお預けである。
今日はチェルフィッチュ岡田さんの新作「エンジョイ」を観て来た。やあ、面白かった…ポツドールとの比較を、と思っていたけど、なんか今、あんまりそういう気分じゃないかも。「超口語」みたいな、必要以上に「普通の会話」みたいなトーンの演技を志向する、という点で突出してる2集団としてよく比較されている感じがするけれども、なんか…その手法を使っている目的は、それぞれレイヤーが違っている感じがしたなあ、ものすごく。
そういえば、この間、数日間に渡ってキーワード「三月の5日間」からまとまったアクセスが来てることがあって、何だろうと思ったら、NHK で舞台映像が放送された後だったみたいで。あの舞台を観たとき…って書きかけて、あれ、舞台だったのかなあ? というのが、やっぱりちょっと分からない感じで、観たときの感想*2としても書いてるけど、鑑賞というよりも「体験」としての公演だったように思ったんだよね。受身で傍観している、という観劇の仕方ではなく、役者と一緒にその空間に存在している、という感じの、舞台空間に取り込まれる感じの「体験」。非常に新しい感触があってホントに面白かった。
で、今日の新作は…ハコが違うこともあって、もうちょっと、舞台と客席がくっきり分断されていた感じ。あと、「三月」と違って感じたのは、「会話」がしっかりと描写されていた点。「三月」は独白寄りだったように思う。水野とタメの彼女の別れ、のくだりの重量感ったら。あれはへヴィーだったなあ…ああいう感じは「三月」にはなかったような気がする。でもホントにロケーションが違いすぎて比べようがないんだけどね…いわんやポツとの比較をや*3
でもなんか、テーマはフリーター、と見せかけて、意外と「恋」だったりしたんでは、なんて思ったりもしたなあ。フリーターの恋人の愚痴を聞かせられて「わたしに失礼」と憤慨する派遣社員、とか、しんどかった。ネガティブな感情はひとりで処理しないと怒られちゃう。何故なら、ネガティブになるポイントは彼女のほうにも共通で、自分のそのポイントにひっかかっている水野は、彼女に対してもひかかってることになるから。そんな爆弾抱え合っていても、やっぱり人は寂しいから誰かを必要としちゃったりする訳で、それはやっぱり、恋というアレなんではないのかなあと、そんな風に思った次第。
南波さんは、近年の宮沢章夫さんの舞台で非常に重要なファクターとなる役を一手に担う役者さんで、宮沢作品では割と、中性的というか無性的というか、象徴っぽい役をやることが多いような印象がある。その人が岡田さんの芝居に出て、どんな感じになるのかな、と思っていたけど、普通に女性だな…と思ったのもつかの間、南波さんがどうこう、という次元を超えて、役と台詞がスライドしてしまって、南波さんの役の台詞を、その役から話を聴いたっていう友人、が喋って(演じて)、南波さんは、南波さんの役に向かって言っていた水野の台詞を喋る(演じる)…という「1つずらし」が発生していたのも面白かった。南波さんの役の友人(山崎ルキノさんが演じていた)の言葉は誰も喋る人がいなくて、この劇中では消されてしまってるっていうね。舞台上に役者はいるのに、彼女が演じている役の本来の言葉は誰にも語られないの。新鮮。
ともあれ、「ミッフィーちゃん」の松村翔子さんが今回は「可愛いくてぴちぴちの女の子」として描かれていたのにニヤニヤしたし、4幕の最後のほうの、山縣くんのカップルの無邪気ないちゃつき方は、なんか、胸がきゅーんとなるシーンだった。何でもないようなことが…幸せだったと思う…いやいやいや、そうじゃなくてー、何でもないような、ぼんやり何かを観ているときに、無意識に寄り添っている2人、っていうのは妙に、美しい光景だな…と思ったんだけど、それは山縣太一くんの佇まいとか、そういうものがもたらす効果だったのかもしれない。「三月」のときにはさほど突出して感じなかったけども、いい役者さんですね、彼は。去年の夏のかながわ戯曲賞の受賞作品のリーディング公演で、宮沢さんの演出作品に出演していたんだよね。観たかったなあ…*4

*1:その後エゾで再会。こんだけ短い魂ファン歴で2回も観られたら上等スな。

*2:http://d.hatena.ne.jp/oolochi/20060320/1142872416 突っ込んで書くと大変なことになる…という自衛本能でさらっとしか書いていない。

*3:と書きつつちょっとメモるけど、ポツドールでは、っていうか「恋の渦」では、会話のディティールによって、登場人物たちの「関係」を描いている感じがすごくした。同じ人物が、喋る相手によって内容や言葉遣いまで全然違ってしまう、みたいなところを、執拗なくらいに描写していたように思った。こちらの「エンジョイ」では、独白が相当な頻度で差し込まれてくるため、関係性は言葉で描写されてしまうんだよね。むしろ、その「言葉」が主役になっている感じ。背景を描いてゆくことで、その「言葉」が湧き上がるさまを描いているように見える。その「言葉」が立ち上がる瞬間を、身体の動きで軽く強調しているような。

*4:RIJF に行っていたので物理的に観られなかったのだった。口惜しい。