NODA・MAP「ロープ」

実は、公演3日目くらいに一度観ている。そのときにあまりにもこちらの体調が悪かったため、フラットに観られたとは自分で思えずに、感想を言葉にするのを控えていた。年が明けて公演日程も進み、満を持して再見。その感想は…初見とあんまり変わらなかった。あらー。
感想を端的に書こうと思う。畳んでおく。
八百長」が政治的な意味の比喩を持っているにしても、プロレスの八百長に対する疑問、八百長八百長だと断罪する立場もまた八百長、みたいな、その構図を戦争にそのまんま結び付けているのはあまりにも短絡的なんじゃないのか、と感じた。構図を笑うくらいの揶揄心がないと気持ちが上手く乗ってゆけない。表現がストレートすぎて、比喩を使っている意味が弱い。勿論、短絡を敢えて指向しての作劇だったのだろうけど、恐らく、そのチョイスによって、こちらにはあまり迫ってくるものがなくなってしまっていたように思う。
もう一度生まれたタマシイが、タマシイの父の代わりに信長に託されるラストには、多分、何らかの希望が描かれていたように思うのだけど、何を希望とするのかがまるで伝わらずに歯がゆかった。比喩のせいで表現が弱くなっている上に、比喩に飲み込まれて、物語のコアのところがこちらに届かない。「まだ遅くない」、そういう意味だったんだとしても、ナニがまだ遅くないのかが見えない。
ほんでそれって、これは信長自身がどういう人なのかが最後まで分からなかったっていうことにも通じるように思う。よいところも悪いところも見えてこない。よほどCATVの撮影クルーの3人のほうがイキイキして見えた。主役が魅力的じゃないから、説得力とか全然ないって話なのかな。これは役者のせいってことではなくて。
NODA・MAP、去年はチケットを確保したのに開演時間を間違えて観られなかったので、今回が初だった。どこで誰が語っているのを聞いても、これまでのNODA・MAPの平均的なオモシロさとしては、「こんなもじゃない」らしいので、次回をもう1回観てみたいな。観終えてすぐに翌年とかのことを考えるというのもひどい話かもしれないけどね。