キックザカンクロー

ゲストはスチャダラパー。宮藤さんと3人の馴れ初めは、という話で、96年の「スチャダラ2010」で共演したときの話がちょっと出ていて思わずにやける。この時期の遊園地再生事業団の作品はホントに面白くって、っていうか、わたしの中で、舞台に対する「面白い」の基準の形成にえらい大きな役割を果たしたもんだった。
でも、番組中でも出てきていたけども、これ、本公演が秋に青山円形劇場であって、クリスマスに特別公演として恵比寿ガーデンプレイスで再演するっていう、そっちのほうにだけ宮藤さんは出ていた*1んだよね。わたしは円形劇場のほうのを観て、すっごく面白かったし、偶然友達が関わっていた*2し、とっても印象深い公演だったんだけど、「え、でも内容一緒でしょ? じゃあ別にもう1回観ることはない…よねえ?」ってな感じで、恵比寿のほうは観なかったのだった。今にして思えば、あそこで観てたらなあ、宮藤さんにもっと早い時期から目がいっていたかもしれない*3のだが…(この件しつこすぎ>自分。
面白かったのは、スチャが集合時間にルーズだっていう話。「この稽古場、時間とか自由なんだ」と最初は思ってた、という宮藤さんの頭がちょっとおかしいのはいつものことだけど、遅れてもいいんだ、と思って、ちょっと遅刻してったら、宮沢さんにすっげえ怒られた、っていうのに笑った。「やっぱり、演劇のには厳しいんだな、宮沢さんも、って思った」んだそうだ。そりゃそうよ*4
にしても、この舞台での3人の芝居が上手かった、っていうのを表現するために宮藤さんが言った、「トルエンのシーンとか、やってんな、みたいに思った」っていうワードチョイスがやっぱりちょっとおかしいし、「ミュージシャンだけにね」なんつって受けてしまうアニもどうかっつう話。それから、スチャが未だに、木更津ファンのお友達とかに「お前らのせいでオジーはなあ!」とか言われる、っていうのがホントいいなあ、とにやけてしまった。あのドラマは、そうやって生き続けているのだわよ、視聴者の間で*5。書いてる途中で「あの3人をSDPに」って磯山さんに言われて、「え、あんなに悪いのに」って思って、でもいいですよ、面白いと思います、って答えたという宮藤さんが、続いて「その親玉をピエール瀧さんに」って言われて、「え、あんなに悪いのに」ってまた思って、「2回そう思った」ていうのもツボだった。あんなに悪いのに、って、意味が分かるようで分からないし。
あと、スチャの新譜「CON10PO」の話で、出るの? もう出たの? という流れから、「あ、見ました、CD 屋で並んでいるのを」っていう宮藤さんのテケトウな感じに思わず噴いたんだけど、よく考えれば確かに、NFR*6もらっちゃうような立場の人だと、リリース時期が分からなくなるのもしょうがないのかもしれないなあ。まだ、宮藤さんは店頭に足を運ぶタイプなだけマシってことかも。まさにこのサンプル盤の話では、リスナーからのメールで、「ウーマンリブ先生」の会場で見かけた3人が、「(持って来ている)CD の数が(知ってる出演者の数に対して)足りないよ」て話をしていた、っていうチクりが入ってたのが面白かったんだけど、大所帯のバンドとかホント困る、って流れで「スカパラとかひどい」って言うスチャにも笑った。ひどいとか言うな。アルバムタイトルの由来*7に対して「頭いいねぇ」と言うカヲルさんがらしく、誠に微笑ましいことである。
あと、魂のライブに出演したときのことを振り返って、「一度台本が宮藤くんから送られてきて、これ芝居じゃん! って思った」っていうボーズが正しくて面白かった。カヲルさんがラッパーっぽい、っていうところで3人の意見がまとまっていて、「キャラが立ってるから詞がつけやすそう」っていうのも納得できたんだけど、考えたら宮藤さんがカヲルさんというキャラクターにやらせてることも同じ発想な訳で、スチャの曲をつくるときのスタンスは、結構演劇的というか、コント的なのかもなあと思った。それであのときの「スチャダラ2010」があったのかなーと、今更になって納得を覚えた感じ。もう間もなくホントの2010年になるっていう今になってこういう納得があるとは思ってなかったので、なかなか愉快な気持ちだった。

*1:恵比寿で宮藤さんがやった役は、円形ではジョビジョバ(当時)の六角くんがやっていた。

*2:高校時代の同級生がアンサンブルで出演していて、大学時代の同級生が音響助手で参加していた。どちらも当日パンフを観て知ってびっくりした。

*3:宮藤さんのことは、この時点で既に、大人計画の公演で何度か目にしていたはずなんだけどね…正直、90年代の間は、宮藤さんにしろ阿部さんにしろ、あんまり特別意識して観てなかったような気がする。とにかく松尾ちゃんに目を奪われっぱなしだったのだ。仕方がない。

*4:この時期の宮沢さんの舞台に出てた役者のうち、わたしが当時付き合っていた人も参加していた遊園地第1回のワークショップ出身の人たちは、ほぼわたしたちと同世代だったように記憶している。当時20代前半、宮藤さんだって25、6とかだろう。それくらいの年齢の人たちに対して、宮沢さんはそれなりに教育的だったのかもしらん。

*5:うちの会社は TBS のネットショップの部署と仕事で昔つながりがあったんだけど、最近久しぶりに担当だった人に会ったというスタッフが、「キャッツのプロジェクトはとにかくものすごーくお金が動くんだ、と言ってましたよ」と。あーなるほど。そういう中で、今回のワールドシリーズで完結、っていうのが貫けるのかどうかが、ちょっと見ものと言えば見ものだし、磯山さんにしても宮藤さんにしても、そういう政治的な話に縛られていない訳がない立場なのに、作品について語るときにそんな要素を匂わせないところは、実に本質的で実に格好いいなあと改めて思ったのだった。

*6:Not For Resale。再版禁止のサンプル盤のこと。そうは言っても、中古 CD 屋に結構流れている。

*7:contemporary から取っていて、10枚目のアルバムだからこうなった、という話。