星の遠さ寿命の長さ/松尾スズキ

97年時点の「大人計画全仕事」をまとめたもので、まだ松尾ちゃんの髪がふさふさしていた頃の書籍。あとがきには「あとがきを書くのも3回目」とあるので、3冊目だったのかなあ。発売直後に買った記憶があり、手元にあるのは初版本です。紙とかちょう焼けてる。
昨年ぴあから発売された「大人計画 その全軌跡 1988−2006」とよく似た形式を取っていて、全公演について、企画のメインになった人のコメントと舞台写真、公演概要が掲載されているデータ部分がメインコンテンツ。今頃になって DVD 発売された「演歌なアイツは夜ごと不条理(パンク)な夢を見る [DVD]」については、

何かね、その後いろいろトラブルがあったみたいで。竹中さん主演だし、これのビデオとか出せば売れるのわかってるのに、もう絶対出させないっていうようなことになってるらしいのね。お蔵入り、永久にダメだろうね。もったいないっすよ。

と語られていたりする。DVD じゃなくてビデオ、の時代ってことですね。
ほんでこの巻末に、当時在籍していた劇団員全員についての簡単なアンケート回答、プロフィール、松尾さんからの一言、っていうのが載っていて、この中の宮藤さんのページでの松尾さんのコメントが印象深かったんだった。

宮藤とは、よく一緒に俺ん家で台本書いたなあ、セブンイレブンのおでん食いながら。俺と宮藤は、テレビのコントとか映画とかいろんな台本を書いてはボツにしてるんですよ。手伝ってもらうっていうのと、一緒に作業することで書くことに慣れてほしかったからね。一時期、仕事が来たらほとんど宮藤と一緒にやってた。あえて。
でも最近、二人の文体がそれぞれ違ってきてて、もう一緒には書けないって感じがするなあ。まあ、僕の文体も変わってきてるんだろうけど。

この記述がわたしの中でものすごく大きくて、松尾さんと宮藤さんの作家同士としての距離感について、いつもむずむずする気持ちを、ここ10年味わっていたので。
もしね、今になってこの2人が一緒に書いたりするんだったら、文体の違いとかそういうのを超えたところの仕事になるんだろうなあ、と思う。見てみたい、とか言うのは無責任なアレだけど、書くくらい許されるだろうからちょっとメモっておくことにした次第。
いえ、勿論、藤子不二雄でも充分楽しみにしてるんですけどね。うんうん。