拝啓、父上様

事態が動き始めましたな。仲居さんを巡る新旧女将のスタンスの違いがよく出ていて上手いなあと思う。倉本聰の脚本は、色んな人の立場がある、っていう視点の多様性だけじゃなくて、その色んな立場から、時として人はアレコレ企んだりもする、という+αがあって面白い。皆辛いんだ、みたいな方向に落ちずに、それぞれの立場から、割とアレコレ余計なことを皆がするんですね。そのズレた一生懸命さには、ちょっとイラっとさせられたり、微笑ましく思わされたり。こういうところが独特のユーモラスな感じに通じているような気がするなあ。一平の妄想癖とかまさにそういう感じだ。
お誕生日の夜に予定がない、のか、息子の誘いに予定をキャンセルしたのか、よく分からないけど、嬉々として息子とのデートに出かける雪乃ちゃんがいいなあと思う。役者が上手いのも、演出が上手いのもあるんだろうけど、一平が雪乃ちゃんに対する口調だけとてもぞんざいになっているところとか、毎回上手いなあと溜息が出る。一平は相手の立場によって口調がいちいち変わっていて、そういう細かいところに人物造形の妙を感じるのだ。真面目につくってあるドラマだなあと、派手さに欠けはするけれど、なかなか心地よく観ている次第。
しかし、ここ2週、二/宮くんの小鹿のような目がぐるぐると泳ぐシーンで終わっているのが気になるよ。いっくら動揺したって、普通そこまでぐるぐるしないだろうよ、目。来週もこういう締めだったらいっそ笑うのだが。