一保堂の玉露の話

先週末に京都に行ったとき、一保堂の喫茶コーナ嘉木玉露を飲んだ。
これは、「えがおのつくりかた all about 矢野顕子 (ORANGE PAGE MOOK)」という矢野顕子さんのムック本に収録されているくるり岸田繁との対談で、2人がここで玉露を飲んだときの話が出ていて、「あれは合法ドラックですよぉ(ニヤニヤ)」と岸田くんが言っていたのが印象深く、実際に体験してみよう、とまねっこ気分で足を運んだという次第でした。
…が、これがまあアナタ、ホントにホントにものすごいの!! 口にした瞬間に脳天まで甘さ&香りが鼻に抜けるというか! そんなに舌も鼻もいいほうではないと思うのだけど、このすごさはわたしでもわかる! と思った。そのくせ後味はふんわり渋くて、まず甘み、後から渋みがいいバランスで戻ってくる感じ。岸田くんの言葉はすごく正確で、味がおいしいとか、そういう知覚以上に、口に含んだ瞬間に脳内物質がもわーんと出る感覚がとんでもないのです。おねだん張るはずだワー、と思ったけど、我々が注文した雁音と麟鳳の上にも、ものすごい値段の「天下一」という銘柄がお品書きに載っていて震えてしまったよ…お、おそろしい…でも一度味わってみたいとやっぱり思った。だって雁音と麟鳳でも、葉っぱの見た目も全然違う(雁音は茎が多い)し、味もまったく別もので、2煎目、3煎目で風味が飛んでゆくさまも雁音のほうが全然早かったんだもん。「天下一」も値段分ちゃんと違うとしたら、一体どれだけトベるのか? っていう話ですよ。いつか…!
嘉木では以前、ひとりで来ておうすと生菓子をいただいたことがあったんだけど、お煎茶とか玉露をお願いすると、熱湯のポットとお茶葉の入った茶器を運んできてくれて、お茶の淹れ方を店員さんがレクチャーしてくれるんですね。自分の手でお茶を淹れさせてもらえるようになっている。絶対店員さんが自分で淹れたほうが早いと思うんだけど、やっぱり買って帰って、家でも飲んでくださいね、という提案なんだろうな。各席に時計が置いてあって、お茶を出すための時間をちゃんと確認できるようになっていたり、店内はとても機能的なつくり。
以前来たときは道路側のテーブル席が10〜15席くらいだけしかなかったように記憶しているのだけど、カウンター席や奥のテーブル席も追加されていた。出してくれる店舗名入りの茶器がまた、ものすごくかわいい。急須の重さも持ち手の質感もフタのつまみの形も、お湯のみの手なじみも、ちゃんと考えられたいい茶器。セット販売もしていたんだけど、お値段が張るのでにまにま眺めるだけだったよ。いつか家に連れて帰りたいものだ。
我々は玉露を頼んだので、お湯のみを4つも使ってじっくりお湯を冷まして、そうっと抽出していただく方法を教わった。家でも楽しんでみたいと思いつつ、やっぱり相応のお値段なので、値段とのバランスに散々悩んだ末、麟鳳(高いほう)を少量パックで購入。勿体なかったり、時間がなかったりで、なかなかちゃんと淹れられなそうだけど、風味が落ちる前に是非チャレンジしたいものよ。
あ、そういえば、嘉木ではお茶をお願いすると、必ずお菓子もつけて出してくれるんだけど、わたしたちが行った日は二條若狭屋の家喜芋の白あんだった。あんがもったり甘くって、お茶とのバランスがよくてすごくおいしかったです。老舗の有名菓子を思わずいただけてニンマリ。
つまり何が言いたいかというと、面白いところだったので、近くに行った方は是非寄ってみたらいいよ、ということです。ただ土日はかなり混んでるかもしれない…平日の京都は楽しかったな…(遠い目。