ちはやふる(5)/末次由紀

ちはやふる(5) (BE LOVE KC)

ちはやふる(5) (BE LOVE KC)

こっちも待ってた! これも読みはじめてすぐに新刊出て申し訳ないパターン。でも、試合の描写は進みが遅いのはスポ根ものの常套なので、あまり話が進んだ感じはなかった。
クイーンが変な T シャツを着ている、というのが笑った。熱いお茶を水筒に入れて来ている、っていうのもいいなあ。初戦で甘粕くんをこてんぱんにして、東京予選で甘粕くんに苦しめられた千早たちに衝撃をうまく与えているのがうまいと思う。クイーンはなんか、ホントに魅力的でいい。彼女に千早が気持ちで負けそうになったところから、ちゃんと立て直しを図るシーンも、太一が負けてチームメイトのほうが落ち込むシーンも、どこも実によかったです。新がお土産に羽二重餅を持って来たのは、千早と太一が訪ねてきたときのお菓子の包み紙のことがあったからなのかなあ? だとしたら、いろいろあって気持ちがグレてはいるけど、基本的には真面目な新の性格がよく出てるなあ、とか。
千早がクイーンに負けて初めて、「クイーンになりたい」という無邪気だった夢が本物の「夢」に変わるところ、ああ、もう子供の頃の、新にひっぱられてかるたを始めた、怖いもの知らずの千早じゃなくなるしかないんだなあ、って少し切なく読みました。新がかるたに戻ってくることを知って、太一がA級に上がりたいと焦るところもよかったし、かなちゃんの「からだひとつで男女が戦えるかるたは文化だ」っていうところもよかった。そうなんだよねえ、クイーンも須藤さん(だいすき…!)と決勝で当たってたし、名人戦が男女混合っていうのは、かるたってすごい競技だなあと思わされる。エントリの最初で「スポ根もの」と書いたけど、この点、わたしもかなちゃんの主張に一票なのです。
あと、肉まんくんが陸トレ面倒臭がってたのに、太一に刺激されて奮起するところにぐっと来た。肉まんくんはなんか、いい気になってた子供時代とかも含めて、すごく人間らしくていいなあと思う。デブキャラをそういう風に扱っているところも好きです、この作品。次巻、千早が得意なところ(速さ)の追求を一旦止めて、苦手なところ(緻密さ)をどうやって獲得してゆくのか、先生の指導が見ものだなあ。楽しみー。