舞妓haaaan!!! ロケ エキストラ参加してきた

いきなり、もらったお土産。


何がすごいって、上が正面、下がバックプリントだというところだ。衝撃的な背中の絵柄。つーか描画領域が広すぎるだろう。
取り敢えず、これを機会にみんな覚えるといいと思う。この映画のタイトル、a が4つに ! が3つですよ。つまり、「舞妓haaaan!!!」。さ、皆さんご一緒に!
…つう訳で行って来た。詳しい感想とかはネタばれにかすりそうなので、あんま書かないでおこう、か、な。取り敢えず、商業映画の撮影現場に立ち会ったのは初めてだったんだけど、んまー時間がかかることかかること。機材のセッティングが終わるまでにひたすら待つし、エキストラや役者が入ってからも、それぞれの動きや段取りの確認とか、本番までにひどく煩雑な手続きが必要なことに驚いた。
だってさ、今日8:15集合で、17:00解散くらいで、多分撮影したのって実質3分前後くらいのシーンだったと思う。1日で3分分。120分の映画を撮るためには40日は必要っていうことだ。やっぱり、1ヶ月〜1ヵ月半はかかる計算になるなあって。
わたしが生で「芝居している阿部さん」を観たことがあるのは舞台でだけ*1なので、阿部芝居=テンション芝居、というイメージがあった。でも、映画の撮影の現場っつうのは、芝居云々以前に、ものすごい段取りの累積で成立してるんだよね。段取りどおりに動けるのが大前提、その上で顔や台詞や動きで芝居をするっていう感じ。
だから、こちらから見える阿部さんの芝居はテンション芝居どころじゃなくて、ひたすら段取りを追っているようにその場では見えて、だけどきっと、フィルムに焼き付けられているのは、いつもわたしたちが画面やスクリーンで見ている阿部さんの芝居なんだろうなーって思ったら、役者ってホントにすごいなあと、改めて、当たり前のことに感動してしまった。
映画は、複数のカメラの映像をスィッチングするんじゃなくて、1台のカメラでいろんな角度から、繰り返して同じシーンを撮影して、それらを編集するやり方だっていうのは一般知識として知っていたけど、要はその都度、同じ台詞や動きを同じトーンで繰り返すということで、これはその場でテンションを作るという力技より、同じテンションを再現する持続力とかのほうが求められるんだと思う。きっかけの、あほっぽい台詞と動きを何度も何度も繰り返す阿部さんを見ていて、舞台の阿部さんを観ていれば役者・阿部サダヲを知っているような気になっていたけど、それはちょっと勘違いだったかも、って思った。映像の仕事で、あんなに緻密な芝居を要求されているということに、わたしは全然気づいてなかったんだもん。
ちょっとした部分でセッティングを変更したり、エキストラの配置を入れ替えたり。わたしたち素人がひたすら「待ち」に入っているのと同じだけの時間、阿部さんたちも「待ち」のステイタスで、だけど、カメラが回ったら、綿密な段取りに基づいた台詞と動きを、次に同じことが再現できるだけの確信を持って打ち出さないといけない。もしくは、さっきとまったく同じ台詞と動きを再現しないといけない。すごいなあと思った。役者ってやつは。本当に。
あとね、勝手に「勢いの芝居」をする人なんだという認識でいた阿部さんが、「待ち」の時間にずうっと口を動かして台詞を反芻していたり、動きのイメージを追って手を小さく動かしていたり、そういうのは初めて観たので、わたしは色々知らなかったなーって思った。阿部さんを観るだけでキャッとなる嗜好ではないので、淡々と「面白い顔をしているなあ…」と見守った感じだけども、役者としての阿部さんの、観たことない部分をがっつり観られてすごく、すごく面白かった。
ほんで、その阿部さんがぶつぶつと反芻しているのが、宮藤さんの手によるバカっぽい台詞だったりする訳で。そのバカっぽい台詞を、テレビとかに比べて年齢層の高いスタッフの人たちが鬼の形相で何度も何度も撮影を繰り返すことになるっていう、その現場の様子がイメージできる宮藤さんが、そのバカっぽい台詞を書いているっていう時点で、作家としての宮藤さんの頭のおかしい覚悟の強さみたいなのが現れているようで、これまたやっぱりすごく面白かった。い、意味分からない…かな…? んま、いいか、うん。
で、以下はストーリーに触れる部分なので、ネタバレが嫌な人はクリック厳禁でひとつ。まずはニュースの引用から。

作品はクドカンの真骨頂ともいうべき予測不可能な人情喜劇。阿部が演じる鬼塚公彦は「舞妓はんとの野球拳が人生最大の目標」というサラリーマン。京都支社への転勤をきっかけに、恋人の大沢富士子(柴咲コウ)を捨て、お茶屋デビューを果たす。しかし、そこにプロ野球界のスター選手・内藤貴一郎(堤真一)が隣の座敷から乱入して、さあ大変。夢のひとときは台無しに。公彦は内藤を見返すためプロ野球選手を目指すことを決意。一方、OLの富士子も舞妓になることを決意して―。

今日は、この「プロ野球選手を目指」して、実際に選手になった公彦が、舞妓さんとレストランで食事をしながら彼女を口説くというシーンの撮影だった。
阿部さん演じる公彦は、レストランなのに何故かユニフォーム姿。下半身にもりもり詰め物をしていて、尻といい腿といい、野茂よろしく、ぱんぱんに膨らますだけ膨らました状態だった。
この映画、どうやら公彦が内藤を見返すためにプロ野球選手になると、内藤は格闘家に転向、公彦も内藤の後を追って格闘家に、すると内藤はラーメン屋に転向、またもや公彦も後を追ってラーメン屋に…という感じらしい。いろんな職業を渡り歩く公彦なので、衣装とともにズラも変えてゆくのかな? 今日は真紅のユニフォームに、まことちゃん(C:楳図かずお)的な刈り上げ・おかっぱ頭…! スパイクでちょっと身長が高くなっていて、何か色々バランスが違って面白かった。
最初お店の前の廊下でひたすらぼんやり待機させられているとき、普通にエレベータの扉が開いて阿部さんが出て来て、目が合ったので会釈をしたら、さらっさらの前髪を揺らして目礼してくれて、明るい場所だったので、でっかい目がまっ茶色に透けていて、うわー小動物…! と思った。やっぱりあの人は何か、普通の成人男子とは質感が違いすぎてよく分からない別の生き物みたいに見える。
公彦が舞妓さんの旦那*2になってもいいでしょ? と迫るシーンだった訳だけども、色々抵抗した挙句に舞妓が言うのは、「だって公ちゃん、うちのこと本当に好きじゃないもん、うちが舞妓だから好きなだけだもん」みたいな台詞だった。わー、そういう方向なんだ! って思って、ちょっとにやけたなあ。この台詞に対して公彦がどういう反論をするのか。宮藤さんが何書いたのか、続きがすごくすごく気になる。うう、楽しみだ。

*1:グループ魂ライブを含む。これは微妙だけども、まあ板の上で行われていることなので、「舞台」に統合させてもらう。

*2:スポンサー、ってことでいいのかな? 舞妓さんの大得意で、なんというか、お手つきみたいなもんだと思えばいいんじゃないかと。最近ではあんまりこういう、金銭で囲い込むみたいなのはなくなっていて、どっちかっていうと普通に「彼氏」みたいなイメージだという風にも聞くけども。