ガンジス河でバタフライ
- 作者: たかのてるこ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2002/03/01
- メディア: 文庫
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面白かった、というのはやっぱり、普通に読んでってことじゃなくて、宮藤さんがどう脚色すんのかなーってところだったかもしれない。実に紀行文なんですよコレ。だから、出来事の描写があって、「ほんでこう思った」という流れで進んでゆく。それをどうやって脚色するんだろう、という純粋な興味が、読みながら、頭の片隅にずうっと鎮座してた。
インドでの旅程は描写は丁寧だし上手いし、出てくる人たちはホント魅力的に描かれているけども、その「魅力」って、言葉もロクに通じてない状態で伝わっているものだから、割とニンゲンとしてのネイティブの魅力なのね。でも何つうか…宮藤さんの描く人物の魅力って、やっぱりこう、今の世の中でどう立ってるか、みたいなところがこれまでは前面に出てたような気がする。社会に対しての共通言語があるからこそ、伝わる魅力、というのが目立っていたような。
例えば、「木更津キャッツアイ」を外国で放送したら? という話で言えば…テレビシリーズはちょっと厳しいような気がする。でも、ワールドシリーズは多分いける。そういう、最近の宮藤作品の持つ強度みたいなものが、こういう「インドの異文化の上に乗っかっているニンゲン」の魅力をどう描くのか、が非常に楽しみだなあと思った。結構、踏まえないといけない前提が多いと思うんだよね、この話。そのへんをどう処理するのかがものすごく興味がある。
殊に、インドでのアレコレで、作者が貧富の差とかカースト制度とかに困惑して、「自分とは?」みたいな、結構大規模な思索にハマる瞬間も描かれているので、これはなかなかに面白そうだなあと思う。弥次喜多では飛び道具的に物事の根底を身近なものにひきつけて表現してたところを、テレビドラマのスケールでどうすんのかなあ、っていうのが楽しみ。つーかよく考えたらコレ、プロデューサは磯山さん以外になるってことよね? あらそれはまた楽しみな要素が。お金の使い方とか、連ドラと結構違ってそうだしね。どう持ってゆくんだろう。うう、見ものだなあ。
あと、たかのてるこさんは宮藤さんと同じ学年つうことで、しかもちゃんと卒業している人なので、この本で描かれている「就職活動前のインド旅行」の頃、わたしは同じ大学の1年生だったんですね。なので余計になんか、「ああ」と思うところがなくもなく。この人って、めちゃめちゃパワーがあったのだろうなあ。あの小さな箱庭みたいなキャンパスに収まりきらなかったそのパワーの行く末が、こういう形に結実したっていうこと自体が、何かものすごーく「分かる気」を誘ってしまって、16年くらい前の江古田を思い出して、何だか久しぶりに自分の小っちゃさに目を向けてしまった。はは、何だろこれ、思春期ですか?
ちなみに日大芸術学部は、中退した人*1のほうが出世すると言われている大学であります。まー勿論、卒業した人*2の中にも出世した人はいますがに。