雲の上のキスケさん(1)〜(5)/鴨居まさね

雲の上のキスケさん (1) (ヤングユーコミックス)

雲の上のキスケさん (1) (ヤングユーコミックス)

雲の上のキスケさん (2) (ヤングユーコミックス)

雲の上のキスケさん (2) (ヤングユーコミックス)

雲の上のキスケさん (3) (ヤングユーコミックス)

雲の上のキスケさん (3) (ヤングユーコミックス)

枡野浩一さんが書いてたホメ文で手にとって、当時、ものすごく「わー!」となった漫画。主人公の眉子と大体同じくらいの年齢で読んだんだったと思う。だから余計に、いろいろと刺激されるところがあった漫画だったんだけど、人に貸したまま、その人と会わなくなってしまったため、今回改めて買いなおしたという次第。
物語的には、がちがちに仕事をがんばっていた大企業の OL が、ギャグ漫画家と出会って恋をして、物事の考え方が転換して、そこにタイミングよく昔の友達との再会とかがあって、更に物事の考え方が転換していって、結果として転職したりマンションを買ったりする…という話。
こう書くと自己啓発っぽいけど、そうでもなくて、他人と関わって「そういう考え方もありなのか!」って目からうろこがこぼれる感じとか、頼れるはずの人の頼りない一面が垣間見えたときのきゅんとした感じとか、誰かと一緒にいるときに自分と相手のコンプレックスをどう扱ってゆけばいいのかとか…そういうのがとにかくリアルで、読み返したら、最初に読んだ頃と自分の状況や発想や心理が変わっているために、いろいろと「あーなるほど!」と思ってしまった。
眉子と、恋人のキスケさんは、お互いにコンプレックスとかこだわりとかがあって、そこを含めて大事にしあっているつもりでも、状況や環境によってすれ違うこともあり、でも、できるだけ話し合って、言葉で分かり合う努力をしている2人、という風にわたしには読める。そこが、以前に読んだときは「こんな風にできればそりゃいいけどさー」って感じだったのが、今は、「わーわたしこの漫画好きだったはずだわー」と感じた。「できればいい」と思ってることが描いてあって、そうしようとしている今の自分がいるからだと思うんだけど、夢物語として読んでた頃の自分と、現実的な指南書っぽく読んでる今の自分と、比べてみて、今があってよかった、と改めて感じられたから、なんか読み返してみてよかったんだなーと思ったりした。
まあ、そういう自分語りはともかく、わたしにはとにかく、20代後半の大事な時期を、仕事して生きてる女性の心境として、ものすごくリアルに感じたところがたくさんたくさんあった漫画なので、同じように「わかる!」と思ったり、眉子と一緒に新しい視点を獲得したりできるかもしれないから、働く若い女の人たちはみんな、この漫画を読んでみたらいいのにねーと思うのです。いろいろな気づきを誘う漫画な気がするので。
最後に、今回読み返してものすごくツボった岡ちゃんの台詞をメモっておく。以前読んだときには全然響いた記憶がないけど、今読んだら「わーそれそれ!」と思った言葉だった。

1人で生きれるようになった上で
誰かと暮らしていけるようになって
それが ほんまの自立やろ
1人な事が自立やら独立やらとは思わんな