その他の最近読んだ本

うちの妻ってどうでしょう? 1 (1) (アクションコミックス)

うちの妻ってどうでしょう? 1 (1) (アクションコミックス)

他社の雑誌に掲載されていたこの連載のタイトルが気に入らない、というネタをモーニングの連載で描いていた、のをまた、この作品でも描いている、というマトリョーシカ状態。モニの作品よりこっちのほうが、妻が活き活きしててすきだなあ、同じような題材なのになんで違うのかよくわかんないけど。モニのほうが「ダメな自分」ネタが前面に出ていて、読者の共感を分かりやすく誘っている感じ? 妻の観察のほうが断然おもしろいと思います! それは本人が描きたいことじゃないのかもだけど!
一番すきなのは断然「腹おどり」ー。あと、ごはんやおやつを食べ終わってちょっと足りないな…と思い、まだ食べ途中の妻に「それちょっとちょうだい」って言ったときにムキになって嫌がる妻もいい。かぶと煮の話もよかったな、「都会育ちにはハードルが高いよ!」とか。なんか、この漫画の食べ物に関するエピソードがいちいちツボでした。いつも何かを食べているけど、それが何かはわからない妻、とか。
東京の男の子

東京の男の子

トラウンマンティックな家庭に育った漫画家たちが、その家庭について、経てきた恋愛について、恋愛の相手となった「東京の男の子」について語りまくるという鼎談本。安彦麻理絵の離婚→再婚が彼女の側のあたらしい恋愛に起因するものだったなんてことも、そのせいで娘とは一緒に住んでいないことも、本気で摂食障害+アル中寸前だったことも、魚喃キリコパニック障害で仕事減らしていることも、お水をして男を喰わせていた頃に摂食障害だったことも、これ読んで初めて知った。
皆、すきな漫画家だけど、やっぱりなんか 東京 or die、みたいなところが強すぎて、最後までよくわかりきれないところがあったかも。自分の息子を「東京の男の子じゃん!」って妬むところとか全然わかんない。「自分がこんなに苦労して辿り着いたのに、お前は生まれたときからゴールか」みたいなこととか、えー? というかんじ。
でもそうやって振り返ってみれば、わたしは「東京の男の子」しかすきになったことがないんだよなー。厳密には、現住所は埼玉、とか千葉、とかはあったけど、生活エリアは東京だったなあ、皆。夫も東京生まれの東京育ちだし。だから、それ以外も知ってる人にとっての「東京の男の子」っていうのがよくわかってないのかもしれないな。以前、お友達のお友達と同じ場に居合わせたとき、その人はわたしと夫とはロクに話をしなくて、後から「あの2人は東京の人、って感じで話しにくい」と言っていたというのを聞いて「…?」と思ったんだけど、それに近い。
あと、この3人のシモ方面の下品さがあまりにすがすがしいので失笑に次ぐ失笑でした。「天然生活なセックスってどんな?」って話で、無農薬野菜を突っ込むだのなんだのと、本当に本当にひどい話を繰り広げていて、もうもう…! 素人男子のスナップ&プロフィールアンケートに3人でダメ出ししまくってるコーナーもえげつなかったなあ。魚喃キリコがことごとく、下北にいそうなニイちゃんばっかりにときめいてるのとかもう、「南瓜とマヨネーズ」読んでた身では見てられねえ! って思っちゃった。はは。友達だったらイラっとなっただろうなー。やあ、笑いました。
陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)

夫が売ろうとしてる本の山の中から借りて読んだ。
伊坂さん、うまいけど、そこまで皆が熱狂するほどかい…? っていうのが今ひとつぴんとこないところがあった。うまいうまいと皆が言うので、構えて読みすぎて構造が透けて見えちゃうっていうのもあるし、人物の行動のモチベーションにあまり切実さが感じられないんだよね。そういう風に読める軽い文体を志向してる感じが、読みやすすぎるなーという印象にも繋がっていたというか。本当の悪意を描くのには向いてない文体に思える。そのスタイリッシュさがすきって人も多いんだろうけど、わたしにはちょっと気恥ずかしい感じがあるのでした。例えば、この作品の辞書の形式、ちょいやりすぎ感があっていただけないなあとか。なんか逆に陳腐じゃない…? そんなことない?
でも、基本的にこの作品は文体にマッチしていた、というか、この文体ありきの物語で、キャラクターも皆朗らかですごく楽しんで読めました。お人よしの誘拐犯とか、すごくよかったなあ。こういう人物造形は真骨頂って感じがする。ギャング側では、わたしは久遠くんが気に入りました。軽妙で賢くて口が減らない男の子。
成瀬さんが格好良すぎるところとか、饗野さんの口だけで生きてる感じとかに比べて、女性陣が類型的に感じられた部分もあった。男性たちは顔や髪型、体系や服装が思い浮かぶけど、女性の登場人物たちは顔が見えてこなかったんだよね。いるいる、って思えない感じ、物語的な女性、という感じ。そこが物足りなかったかも。
この人の作品で女性の登場人物がイイ作品てなにかあるのかな、読んでみたい。基本的な水準は確保されてる人だなあと思ったので、夫のダンボールの中にあった他の伊坂作品も読んでってみようっと。