おいピータン!!(11)/伊藤理佐

今まで買ってなかったのに、仕事帰りの電車の中で携帯からミクシでマイミクさんの感想を読んだら急ーに我慢ができなくなり、最寄り駅に着くなり直近の本屋への階段駆け上がり、まっすぐ漫画コーナ目指してしまった。

おいピータン!!(11) (ワイドKC)

おいピータン!!(11) (ワイドKC)

忍さんの片付け魔っぷりフィーチャーの回が2話あってどっちもたまらなかった…ということで改めて分かったのは、わたしは本当に、おうちごはん話がとにかく好きで好きでたまらないんだということだ。クロワッサン的マクロビオティークなスカしたごはん話だって、クウネル的おばあちゃん直伝の地方ごはん話だって、オレンジページ的育ち盛り向けハイカロリー&コスト節約ごはん話だって、なんでも好きだし、なんでも楽しく読むよ。どれだけ疲れていてもごはん話の本や雑誌ならスルスル読めるもんね。不思議なもんです。
この片付け=使いまわし魔っぷりで思い出したのは、よしながふみの「きのう何食べた?」の筧(シロさん)だったんだけど、「きのう〜」が食生活漫画なのに対して、「ピータン」は食べることが大好きな人たちの、生活全般に関する漫画、という感じがある。前者は食に対する比重が高く、後者は食を生活の一要素として考えている感じ。まあ、取り上げられる人(というか、人たち?)の幅が「ピータン」のほうが広いので、食の比重も人それぞれ、っていうことかもしれないな。でも各話、食べ物に関する話題が必ず? 大抵? 出てきている気がするので、これはこれで「食」漫画としてわたしは読んでるんだな…と自分で改めて思った。
一番好きだったのはダントツで「とりあえず箱」の話だった。部屋が決まったら結婚しよう、と言ってる30代カップルが、部屋探しに難航して険悪な感じになっちゃうんだけど、女の子が実家の「とりあえず箱」を見て、とりあえず今の男の子の部屋に住めばいいか、と発想転換してうまくゆく話。なんだか、自分が結婚に伴う引越しをするときのことなぞしみじみ思い出してしまったよ。こういう「とりあえず箱」的発想がどれほど大切なのかっていうのは、ここ2年くらいの自分に振ってきた「結婚にまつわるあれこれ」で日々、痛いくらいに実感していたことだったので、とても上品であったかい「あるあるネタ」だなあとじんわりしながら読んじゃった。
うちの場合は、一緒に住むことを結婚の最優先事項として考えていて、そのためには最低限入籍は必須だった*1ので、引越しと入籍をまずはこなして、落ち着いた後に式をするかどうかを考えたんだけど、この順番自体も「とりあえず箱」的な発想だったなあと、振り返ってみれば思う。引越しのときだって、必要な家具や家電を引越しのタイミングで揃えなきゃ! と焦るわたしに、順番に、ゆっくりやってゆこう、と夫が言ってくれて、ダンボールだらけでも暮らし始めたら、それはそれで楽しくてほっとしたり…まあ、その結果いまだにダンボール生活から脱していないという側面もあるので、善し悪しかもしれないんですけどねーっだ。はっはっはー。
でもまあ、一番に優先したのが「一緒に暮らす」ことだった訳なので。他のことを全部「とりあえず箱」に入れて、まず引っ越しをしたことは間違ってなかったと思っているから、この話を読んでぼやーんと嬉しくなったよ、ということなのでした。なんでもちゃんと全部一気にやれる人はえらい、けど、わたしたちやこの漫画の2人のよーに、できない人もいる、つう話ですね。
他にも、「娘(30歳)の婚約者の実家から送られてきたりんごを丁重に扱う両親(リアルすぎ)」とか「おなかいっぱいになった?(聞きたくなるよね)」とか「裏庭から見る自分ち(身に覚えが)」とか「恋人に対するもやもやを怖くて口にできない(なつかしい)」とか「たぬきはメニューに載せないシュミレーション(やるやる)」とか「仕事だからって待ち合わせに遅れてもいいと思ってる(それわたし?)」とか、全部ニヤニヤ同調できて楽しかったです。あとがきに「オットの人=吉田戦車」がさらりと出てきているのにもニヤニヤしちゃった。ハハ。
あ、ちなみにゆうべ忍さんを真似してセロリとジャガイモの蒸し煮を作って今日のお弁当に入れてみましたが、正直いまいちで悔しかったですよ。白ワインより日本酒だったかな…オイル少し入れてもよかったかも…。勿論、伊藤さんも作ったことないけど描いた、てことかもしれないが、「セロリのだしが」とか、絶対実体験があるように読めちゃうので、きっとおいしい調理の仕方が存在するんだろうなー。それなのにレシピじたいは描かない、ってあたりが「きのう〜」と違うところでもある。
ともあれ、近日リベンジ予定です。ええ。

*1:うちの両親がそう主張したので。「この年齢(当時35)で、一緒に住むだけ住んで後で何かあると困るから」と身も蓋もないことを…や、親としては切実だったんでしょうけどね!