劇団新感線「いのうえ歌舞伎・壊<Punk>蜉蝣峠」/赤坂 ACT シアター

いまさら感想書くのもあれですが、プレ公演を除く東京初日、3/13(金)に観ました。初 ACT シアター。A 席しか取れずに2階席だったので、噂の「2階に劇場入り口」の矛盾に直面することもなく、誰よりも先に劇場も出られてむしろノンストレスだったりして。
が、芝居の内容はストレスフル…。うーん、えらそうで申し訳ないが、宮藤さんのいいところがぜんぜん出てない脚本だったなーという感想。新感線の、どっちかっつーとネタモノみたいな感じで書いたらどっちつかずになっちゃった、みたいなことなのか。やあ、ぼんやりした芝居でした。
別に宮藤さんのホンが新感線に合わないっていうことではないと思うんだよねえ、「メタルマクベス」のときはちゃんと、ランダムスター(マクベス)やローラ(レディマクベス)の悲劇性がぐいぐい表に出て来て痛きもちよく観られたし。そういう意味で、今回はあんまり、悲劇が悲劇として迫ってこなかったので、全体的にぼんやりしたまま観終えてしまった気がする。人間関係もぼんやりしたままだったし、歌舞伎だともパンクだとも思わなかったし。うーん、なんでなんだろー?
劇場の構造とかの問題かもしれないんだけど、セットの規模もなんか小さかった? それとも2階席だったから? なんか引っ張り込まれる度合いが弱くて、それも気持ちが乗り切れない一因だったのかもしんない。んー、よくわかりませんが、終始頭が冷えた状態でぼんやり眺めている間に芝居が終わってしまったよ、サミシイ…。
楽しみにしてた立ち回りも、初日だったせいか、古田さんが明らかにぐずぐずで笑った、一人のときは間がずれまくってて、なんか「よっこらせっと」って段取り軽く流してるみたいに見えちゃったり。でもそれも、立ち回りに至る気持ちの盛り上がりみたいなのがうまく確立してない状態で立ち回りに突入されちゃってたせいで、観てるほうもやってるほうもなんとなくダレてたってことな気がする…もしかして、立ち回りに導く脚本が悪かったってことなのか? あんまり思いたくないですけどもー(←宮藤ファン)。
一言でいうなら、全体的にグルーブがなかった気がすんですよ。でもそれは初日だったからなのかも、とも思うけど、あんまりわたしのアンテナに上がってくる感想でも褒めワードは見つからず、残念な気持ち。相応に楽しみにしてたんだけどねーっ、みたいな。
あ、でも、堤×古田の立ち回りだけは見応えあったな! あのシーンに差し掛かった瞬間、モニタにかけてたフィルタを取り外したみたいに、色味がしゃっ! と鮮やかに目に飛び込んで来たような感じがしました。着流しの堤さん、立ち姿が美しいったらー。
でもさ、あのシーンが目玉だというのは当然だとしても、そこに至るまでにふたりが抱えて来たものの大きさや暗さを描く過程で、他にもたくさんのぎゅっとなるシーンを盛り込んで来るのが宮藤ちん、という風に今までわたしは思っていたので、あそこ以外に胸躍るシーンがなかったことがなかなかに残念でね…あのシーンも、ただ二人がやっぱり格好いい! っていうだけだったし、他のシーンのが生彩に欠いてたから落差で鮮やかさが際立ったというのもあるんだろうし。あんまり物語全体覚えてないもんね、もはや…。いろいろ残念な後味でした。
あと印象的だったのはは、勝地くんが(またもや)がんばってたなーということと、高岡さんがせりふのトーンがまんま「キレイ」とおんなじで、ほわほわ色っぽいけどミサに聞こえる、という邪念が邪魔して面倒臭かったということ。木村くんはあんまり印象に残ってないなあということ。じゅんさんがちょっともったいない感じだったこと、聖子さんや粟根さんはやっぱりどんな台詞でもかちっとハメられる磐石感がすごいなあということ。そんなところでしょうか。本当にいろいろ、あんまり印象に残らなかった。初日から3週くらい経った今頃、いい感じにグルーブが出ているといいですね。