ラーメンズ第17回本公演「TOWER」/グローブ座(2009.06.21)

本多劇場でも実は観ました。楽前を。そのときは、前日くらいまでホントに観られるかわかんなかったので、当日は「わあ…今わたしホントにラーメンズ観てる??」とぽやーんとしてしまい、感想書くほどちゃんと観られてなかった。今回、自力で取ったチケットで2回目観てよーやく、多少は頭が動いた状態で観られた、とゆー感じでした。
まず、覚え書き。

  1. 縄張り争いとお題
  2. あやとり
  3. 心理ゲーム的な語感ゲーム、またの名をクリムゾン・メサイヤ
  4. ハイウエス
  5. キャラメルマキアート
  6. 京都タワーちゃん
  7. お題とピアノ

↑ は帰りの電車で携帯にメモった通り。以下は思ったこともろもろ。

  • 1本目のコントが、本多からグローブ座の間にものすごく「育って」いて、おおーっ、となった。小林さんのほうのキャラクタが立つように微調整がたくさん入っていて、過剰にロボット的な動きとか、本当にニヤけた。売りっちゃ売り、なんだろう、仁さんのバカかわいさも強調されてて非常にいい感じ。
  • 今回、本多でもグローブ座でも思ったことだけど、客層がすごく標準的になってきているなあと。マニアっぽい人(わたしみたいな!)が減って、若くて、こざっぱりしたカップル…みたいな客層が主流だった。1本目のコントで「おおーっ」と素直に感心の声が沸きあがった瞬間、わたしの中のイメージと実際の客層のずれをかみ締めた気がする。
  • ちなみに、その感心声があがったのは、天の声の「お題」に2人が答えるところの「2」のお題の答えに対して。箱馬を組み合わせて「+」にして、その両脇に2人が立って「1 + 1」としたときでした。でも「おおーっ」はその1回だけで、あとは笑い声ばっかりだったので、居心地悪くもならずにひと安心だった。
  • あと、小さなことだけど、本多では確か開演前から箱馬出してあったと思うんですよね。開演前に、「なんか、今回の箱馬が横長…」と同行の方に言った記憶があるので。そしたら、2つ横に組み合わせていたということがあとから(縄張り争い的な流れによって)わかって、なるほど、って思ったんだけど、グローブ座では客入れ時、舞台上には何もなかった気がする。どういう意図があって変えたのか、知ったことではないんですが、ちょっと気になったりしたよ、マニアだからね!
  • 2本目、作家としての小林賢太郎の本領発揮って感じで大好き。言葉通りに受け取ってかみ合わなくなる会話を描きたい、というところに端を発して書かれた作品だと仮定すれば、「手が塞がるもの → 言葉でしか説明できない状況を作るもの」であり、なおかつ、「説明が言葉だけだと難しいもの」という条件を満たしたあやとりとゆーものを見つけちゃうあたりが小林賢太郎だよ! とにやける。んでさらに若干のかわいげまであるしね、あやとり…んとに、こゆとこの小林賢太郎っぷりって! な!(握りこぶし)
  • 3本目は仁さん推しで書かれた1本という印象。毎回必ず、片桐仁の愛らしいバカさを存分に盛り込んだコントを必ず入れてくるから、ファンはみんな本公演が大好きなんだよ…っていうか、もはや本公演しか好きじゃn(げふんげふん)
  • 本多で最初に見たとき、「心理ゲーム」みたいだなーと思った。ら、途中で小林さんが台詞の順番を間違えて、「…じゃなくって、その前に××…」みたいになっちゃってたところがあって、一層心理ゲームっぽい! って思った。でもきのう観たらそれほどじゃなかったな…どっちかというと後半部分の、クリムゾン・メサイヤ祭りが大変激しくなっていて、仁さんがノリノリすぎて本多の印象が吹っ飛んだ感じ。
  • 本多ではなかった「生八橋」がひどくよかったです。小林さんの語感強調芝居がだんだん、顔の芝居になっていて笑った。
  • 4本目はあんまり印象に残ってなくて、電車の中でメモしたとき「印象が薄かったやつ」とだけ携帯に入力してた。思い出せなかったんや…夜、電気消して寝付く前に思い出して、慌てて携帯取り出したという次第。あんまりひねりがなかったというか…とにかく印象が薄かった。あとのコントへの布石っぽかったのかな? 単に好みじゃなかっただけかもしれない。とはいえ、つまんなかった訳ではなかった。
  • 5本目は、小林賢太郎の本領発揮・その2、という感じ。でも、前回の本公演「TEXT」んときみたく、叙情が前面に出て女子受け絶頂狙い、もしくは小林内乙女心炸裂、みたいな舌の上がざらつく感じはなかったので幸いでした。わたしは小林さんが「いい話」を、「いい話」だと思ってやってる感じがどうも苦手なの…。
  • そうなんだよ、「TEXT」ってアレだったんだよな、本公演がものすごく久しぶりで、仁さんが一人で外部に客演するようになってから初めての本公演で、だから、「本公演がない」っていうだけじゃなくて、「仁さんだけが人前に出てる」っていう時期を、それまでになく長く経ての本公演で。「ラーメンズが2人で舞台に立っている」ということに、こっちが死ぬほど飢えている状態で、やっと打たれた本公演、という感じだった。
  • その公演で、「2人に見えたけど、本当はひとり」「でも、ずっとひとりでいたのに、誰かと一緒にいた気がする」みたいな、そおおおおおいうモチーフのコントを最後に、意味ありげに持ってきていて、わたしはなんかもう、頭にきてしょうがなかった。いや、丸できゅんとこなかったといえば嘘になるけど、「狙いやがって!」とむっとした部分もかなりあって、日が経つにつれて後者がどんどん強くなって、非常にアンビバレンツな気持ちを掻き立てられたまま、本公演の谷間期間に放り出された感じだった。今度ああいうことやられたらちょっとなあ、ついてゆけなくなるかも…と、多少、心配な気持ちも抱えて今回の公演を迎えたわたくしだった訳なんですけども!(きもちわるい)
  • そこで、今回のこのタワーマニアのコント。くだらなくて無邪気でかわいらしくて、実に後味のよい掌編で、ほっとしたし、嬉しかったです。大好きな「アトムより」を思い出したのは、単に同居ネタだったから、というだけじゃなくて、お得意の関係性のくすぐったさ、みたいな部分なのかなあ、とも。
  • でも、「アトムより」と大きく違うのは、コントの中の彼らが、部屋の中に留まっていないところかなあ。居心地のよい2人の部屋を出て、外でわあわあやって、それでも、2人は2人の部屋に必ず帰ってくる…みたいな。
  • …なんつって、わたしのほうがよっぽど叙情派みたいじゃんね、お恥ずかしい!(きゃっきゃっ)
  • とにかく、かわいらしい話だったということです。自意識過剰のスターバックス、というネタも、なんというか、3年くらいずれてる感じがして、逆にかわいらしかったし。あるクラブイベントで見かけた小林さんが、スカジャンを腰に巻いてたのとか思い出しました。かわいらしくて、思い出しても笑いが止まらんです。
  • 「あの赤いランプの下で、待ってるから!」暗転。絶頂にずるくて最高だった。そして「2軍」という言葉で「君の席」を思い出さないラーメンズファンがいるだろうか、いやいない(反語)。まんまと「バナナマン・ラーメンズ・おぎやはぎ ライヴ!!君の席-SPECIAL SIX SEATS- [DVD]」を観返したくなった。
  • ちなみに、きのうはこのコントの最初のほうで、小林さんが台詞言いながら笑い出してしまって、一応台詞を最後まで言い切りはしたんだけど、仁さんがひどく釣られてしまい、笑って台詞が言えない、客席の笑い声が収まらないから更に言えない(言っても笑い声と被ると聞こえないから)、という状況に陥り、しばし芝居が止まる、ということがありました。
  • こういうの、前は「たるんどる!」と思うこともあった気がするんだけど、今はそんなにピリピリして観る気がなくなっているから、「うふふ、笑ってしまっておるなあ、うふふ」ってこっちもたくさん笑って、実に楽しかったです。アクシデントを喜ぶとか、そういうんでもなくて、ただなんか、笑っちゃってんの、かわいらしいなあ、ってニヤニヤしてた。平和な心境でラーメンズを観られるようになって、すごく楽になったことを実感した瞬間でした。
  • 6本目は、ちょっと不条理っぽくてくだらなかったなあ。一番好きだったのは、冒頭部の五重塔(八坂だよね?)の独白。「あー、誰か『京都タワーとお付き合いされてるんですか?』って訊いてくれないかなあ…」ってやつ。わたし多分、小林さんが書く、その手のバカっぽい恋愛ネタ大好きなんだな、マープー2の「糸くず、ついてたよ」とかああいう感じ、中2っぽいというか。
  • 人形を持ち出したり、小林さんの動きと仁さんの頭の振りが連動してたりして、仁さんの被り物の中が舞台右半分、という空間の使い方をよう見せとった。昔はこういう、演劇的な空間の見せ方が苦手な人という印象(小林さんが)だったんだけど、体得した感があったなあ。KKP とかひどかったもんね、昔…そのまんま、固定した空間のことしか描けない感じで。苦手意識持って克服したのかも、ってくらいにうまくなってて感心してしまった。
  • そして関係ありませんが、「演劇的な空間の使い方、見せ方ができない人」としては、小林賢太郎を上回る伝説の舞台をわたしは観たので、今更小林さんを悪く言う気もないのだった。あれに比べれば、KKP 1作目も全然ましです…ダメな方向性は似てたけど…。
  • でもこの6本目、オチが弱かった気がする。ま、これも好みの問題ですね。
  • 最後のコントは、1本目のモチーフに繋げて、綺麗に輪っかを閉じて終了、という感じ。綺麗すぎる気はちょっとするけど、それがラーメンズっぽい、とも言える。
  • 上に書いた内容を見ればわかるよう、今までも公演の要素のほんの一部をすっと混じらせてあるような、そういう感触のコントが多かった気がする。わたしの考えすぎなのかもしれないけど、わたしはそれが嬉しくもあり、くすぐったくもあって気持ちよかった。勿論、そんなの知らないで観てる人も楽しめるようにはなっていて、でも昔のコントを知ってる人ならニヤニヤが5割増し、みたいな。これくらいのバランスがちょうどいいなあ、としみじみ思いました。
  • 本多で観たとき、久しぶりに本公演観たせいもあって、なかなか実感が沸かなかったんだけど、1本目が終わって暗転して、一拍置いて薄明かりが点いて、薄いオレンジの光の中で、暗転前と同じポーズだった2人がふっと力を抜いて動き出し、移動を始めたのを観て、わあ、わたし今ラーメンズ観てる! 観てます! と急に気持ちが盛り上がった。グローブ座でも、幕間に自分の頬が完全に緩んでいるのがわかって、なんというか…どれだけ幕間が好きなの自分…と恥ずかしくなったりした。
  • でも、前に幕間が楽しいなーと思ったのって、幕間に2人の「素」を観た気持ちがしたからなのかもしれなくて。今は、「素」とかどーでもいいなーと、結構本気で思っているから、ただひたすら、幕間の移動、撤収、設置に励む彼らが、とてものびのびして見えることを微笑ましく思う気持ちだけでニヤけていた、という感じです。
  • きのうはカーテンコールが…2回? 3回? あったけど、別に小林さんが「いいこと」言うでもなく、ただただ、あの綺麗なお辞儀を繰り返して去っていった感じがすごくよかった。
  • 本多の2週間、ほぼ毎日のように「片桐さんから宣伝があります」で仁さんが宣伝したあとに「小林さんは?」と振ると、「僕はとくにありません、コントだけできればそれで」みたいなことを言う、という流れをカテコで必ずやっていたんだそうで、わたしが観た日は小林さん、ちょっと面倒臭そうに言ってたから、「いいこと」言ってる、という感じはあまりなかったんだけど、それをほぼ2週間毎日やってたと聞いたとき、うわあ、面倒くせえ男、と久々に思った。そういうの、グローブ座ではなくなっていてホッとした次第です。
  • まあ、いろいろ書きましたが楽しかった、と、そういうことです。来週、楽前日にもう1回観られる予定なので、たっぷり楽しんでこようと思いまっす。押忍。