FUJI ROCK FESTIVAL 09

そんな訳で行ってまいった初 FRF。数年来通っている蓄積を持つ人々に囲まれ、ノウハウを伝授してもらいながら、前夜祭から4日間楽しんだ次第。
見たもの、食べたものはそれぞれこんな感じ。

  • 7/23(木):前夜祭
    • もち豚ステーキ(場外)(一口):肉うめえ。
    • ナンつきインドカレー(オアシス):カレーが少なかったな…でもバターつきパンとしてナンをおいしくいただいた。雨でしめったナンうめえ。
    • Rafven(Red):むちゃくちゃ楽しかった! 雨でもすっかり気持ちがアガった。
    • 抹茶ソフト(オアシス)(半分):量少なめ。
    • 温泉コーヒー(オアシス):ふつう。
    • EBONY BONES!(Red):アフリカンなコスチューム。コンセプチュアルなアイドルシンガーという感じ。トータライズ度合いはすごかったけど、特に響くものは感じなかったかも。
    • 舞茸けんちん汁(オアシス)(半分):300円で野菜とお豆腐たっぷり、あつあつ。七味ごっそりかけた。
    • フジロックスペシャルピザ(オアシス)(一口):薄焼き。ソーセージがあまりのってなくて単なるマルゲリータみたいな感じだけど美味。
    • チャイ(オアシス):甘くてあったかい。シナモンも利いてて最高。
    • 牛タンシチュー(オアシス)(一口):あつあつで濃厚。
    • アップルパイ(オアシス)(半分):苗プリのブースで発見。シンプルでまちがいのないうまさ。
  • 7/24(金):1日め
    • TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA(Green):はじまった! という感じ。前夜、図らずも「スカパラは嫌いじゃないけど、スカパラで踊ってる客が嫌い」と無意識に言い、当日もその感触をかみ締めた。雨の中踊るのは楽しかったけど。3曲くらいで移動。
    • ASA-CHANG&巡礼(Heaven):初めてのヘヴン。おーがにっくでろはすなステージの雰囲気+環境に溶け込む音で、ヒーリングってこういうこと…? とぼんやりする。雨すごかった。
    • オーガニックコーヒー(Heaven):ロータスカフェで。すげーうまくてビビる。この後毎日飲んだ。
    • 本格的なキーマカレー(Heaven)(一口):燻製やさんのもの。鶏ひき肉とレンズ豆で、がっつんがっつんスパイス利いた種類の辛さ。激好み。
    • 黒ごまチーズパン(Heaven):ルヴァンのパンが食べられるなんて! と楽しみにしてた。やあ、うまかった! 雨でびちょびちょになったけどね…。
    • ギターウルフ(White):とおりすがりに。雨の中、「ワンツースリーフォー!」との叫び声に魂を思い出した。
    • DGDドラゴンドラで霧の中を山頂へ移動。途中、渓流が濁流と化し、カフェオレ色になっていてビビる。
    • 歌のお兄さん(山頂):濡れそぼる我々の心を暖めた真心・桜井さんによる弾き語り。
    • あやしい3人組(山頂):2曲で終了。なぜなら、悪天候のためにドラゴンドラの運転を中止することになったから。
    • Doves(Green):とおりすがりに。ゴリゴリにブリティッシュで普通に格好良い。美メロ度合いにちょっと興味をそそられた。
    • SAKEROCK(Heaven):半分くらい観たかな。野村くん入れて5人でやっていた。観ている間は源ちゃんがマリンバに徹していて、ハマケンによるメンバー紹介でも「マリンバ星野源」て。なんかショックを受けて立ち去った。
    • Rafven(Orange):田植え状態のぬかるみオレンジでレーヴェンのリハで1曲。アガった。
    • ざぶとん丼(Orange)(半分):肉うめええええ! それでも肉4枚で2000円は高いいいい!
    • 蒸し鶏(ワールドレストラン):何やらだし成分が利いた鶏とほんのり梅風味が美味。
    • チャイ(オアシス):前日と変わらずうまい。でも店員のお姉さんが感じ悪くて以降飲まずじまい。
    • バニラソフト(オアシス):雨のなか食べるソフトは格別。
    • Lily Allen(Green):宿に戻りながら2曲くらい。かわいかった。あとで聞いたら衣装もむちゃくちゃかわいかったらしい。もうちょっと観てもよかったなあ。
    • 宿・風呂:雨で激減した HP を熱い風呂でチャージ。
    • ロコモコ(Heaven):ざんざん振りの中、ヘヴンで。状況の異常さで味がわかんなかった。
    • オーガニックコーヒー(Heaven):ロータスカフェの。雨で薄くなってもうまい。
    • クラムボン(Heaven):セッティングで「銀河」を本意気でワンコーラス。それだけで泣きそう。
    • Oasis(Green):帰りながらチラ見。リアムが本当に腕を後ろで組んで歌っていたので大変に満足した。
    • 鶏スープうどん(場外)(半分):夫が買ってきたものを半分食べた。半熟卵が入っていておいしかった。
  • 7/25(土):2日め
    • The Birthday(Green):晴れてきて、風が吹いていた。チバの髪が風で顔にかかって、穏やかな表情で歌っているのがスクリーンに映っていた。アベについて触れるかとも思ったけど、なんだかそれを期待してる己の浅ましさみたいなのが気になって、2曲くらいで移動した。
    • DGD:快晴! でも風が強い分揺れる! しっかり酔った。
    • 夏野菜カレー(山頂)(一口):ラタトゥイユがのっていた。女子向けって感じ。
    • ソフトクリームアイス(山頂)(一口):プラスチックに入ったアイスを冷凍庫から出されてズコーってなった。乗り物酔いで自分の分は買わなかったけど、一緒にいた人たちはわたし以外全員食べてて変な光景だった。
    • 天国チーズバーガー(ところ天国):佐世保バーガー的ボリューム。付け合せのポテチが風で飛びまくっていた。
    • :「きのうの雨で濁った川がフジの川だとさーやさんに思われたくないので!」と年下のかわいい女の子たちが連れて行ってくれた。水きれいで冷たい。
    • オニ(あふりらんぼ)Avalon):とおりすがりに。意外としっかり弾き語っていてアレま、ああいうこともやるのね、と思った。
    • 筋肉少女帯(White):オーケン喋りすぎ、歌下手すぎ! でも MC のウケはよい感じだった。手振りが完璧なファンの人たちが前方に固まっていて、後ろのほうと完全に分離してたのには笑った。音はわたしの苦手な HM/HR で、ただ唯一、エディーの音の粒のきらっきらだけにときめき、結構長く聴いてしまった。エディーのマイクパフォーマンスとその背中の虎に悩殺されつつ、2曲を残して移動。
    • JET(Green):とおりすがりに2曲ほど。iPod の CM の曲で我先にとグリーンに向かって走り出す若者多数。危ないよばか。キメ曲があるとグリーンも余裕ですね。普通に格好良くてえらいなあと思った。
    • もち豚ステーキ(場外):宿に帰りながら。肉肉しくてやっぱりうまい。
    • 茹でトウモロコシ(場外):こちらも宿に帰りながら。大きい粒がぷりぷりしていてむちゃくちゃ美味。夏だなあ。
    • 宿・風呂:ほかほかほか。
    • 塩ラーメン(オアシス)(半分):一番おいしかったと友達が言っていたので。麺がラーメンじゃなくてフォーみたいだったけどスープがおいしかった。もやし臭さが利いてたな。
    • 忌野清志郎スペシャルメッセージ・オーケストラ(Green):泣いた泣いた。くそう、本当に死んじゃったんだなあ、清志郎
    • オーガニックカフェオレ(Heaven):うまいコーヒーで作ったカフェオレはやっぱりうまい。
    • funky METERS(Heaven):うねるベースに体の芯がぐるんぐるんする感じ。格好良いわあ。3曲くらい入り込んで楽しんだ。ファンクてやっぱエロ音楽だねえ。
    • バターはちみつカンパーニュ(Heaven)(半分):ルヴァンのうまいパンをかじりながら移動。軽い酸味が甘いペーストとベストマッチだった。
    • FRANZ FERDINAND(Green):普通に格好良かった! もうちょっと聴いてもよかったかもだけど、疲れていたので帰りつつ2曲くらい。
    • 鶏フォー(場外):やさしい味でうまい。
    • 枝豆(場外):持ち帰りつまみ。
    • 炭火もも焼き(場外)(一口):夫の持ち帰りつまみ。場外のこのお店に夫が連日通っていた。
  • 7/26(日):3日め
    • 石焼きピザ(Heaven):マルゲリータ、クアトロフロマージュ、苗場スペシャルの3種類を4人でシェア。フロマージュが乳臭くてもう最高。蕩けて伸びる熱々のチーズ。うまかったなあ。
    • フルーツトウモロコシ(Heaven):生っぽいのに甘い! 異様においしかった。
    • Dachanbo(Heaven):踊れることこの上なし! ライブに強いバンドなんだなーと実感。ピザ喰いながら堪能。楽しかった。
    • オーガニックアイスコーヒー(Heaven):暑かったのでアイス。アイスでも美味。
    • 讃岐うどん(オアシス):トッピングは自分でのせてお会計するタイプ。わかめときつねをチョイス。麺はのびぎみ(しかたない)だったけど、だしはまあまあでした。わかめはのせ放題100円だったのでわかめうどんと化してしまった。
    • 髭(HiGE)(Red):なんか普通に格好良くてびっくりした! もっと笑わせる感じだった印象が。3曲ほどで移動。
    • DGD:とうとう最終日まで乗車。しかしまたもや霧。途中、大粒の雨のゾーンを通り抜けた。そのゾーンが直後に地上に降りていたもよう。
    • CLAP YOUR HANDS SAY YEAH'(White):ちょう好み! たのしい! ペロッペロのギター、脱力ヴォーカル、でも踊れる感じが楽しかった。
    • 宿:今日は風呂を浴びる時間はなし。普通に休憩。
    • アメリカンチェリー(ところ天国)(半分):休憩後、再度出かけてところ天国の酒屋で。つまみとしても優秀なのな!
    • プレッツェル(ところ天国):同上。分かっていたけどしょっぱかった。好きなんだけど食べきれぬ…。
    • ANIMAL COLLECTIVE(White):マニアック大爆発。踊らせまいと必死になっているかのような肩すかしっぷり。しきりに首を傾げながら帰ってゆく人がたくさんいて笑った。
    • THE DISCO BISCUITS(Heaven):インプロっぽい、延々1曲が続く感じに、ふーんとなる。まさか2時間で1曲ってことはないよね、なんて笑っていたら曲が終わり、次に始まった曲が全然違うタイプのファンクっぽい曲だったので度肝を抜かれた。
    • ROYKSOPP(White):ところ天国から2曲くらい聴く。あんまり力強さを感じず。近くの店で「ジャークチキン」を叩き売る怒号が飛んでいて、これじゃあジャークソップになっちゃう、とか言って笑っていた。
    • マサラチャイ(ところ天国):スパイシーで美味。お店のお兄さんが「終わっちゃいますねー」って寂しそうに客全員に話しかけていて行列が長引いていた。わかるけども。
    • 埋火(苗場食堂):ごはん食べながら。いろんな女性ヴォーカルに似ていて、そつがない感じだった。
    • 塩焼きそば(オアシス)(半分):ごま油が利いてておいしかった。ボリューム少なめ。
    • パエリア(オアシス)(半分):オリーブオイルが利いてておしいかった。ボリューム多め。具は大半冷凍のミックスベジタブルとシーフードミックスなのに、なぜか魚介ダシががつんと香った。
    • BASEMENT JAXX(Green):オアシスにいたのに、音が鳴った瞬間グリーンに引き寄せられた。ものすごい音圧、ものすごいビート。クロージングかくあるべし! という感じで皆踊り狂っていた。2曲くらい聴いて帰ることに。
    • Rafven(場外):帰ろうとしたとき、偶然出くわした。こんなところでまでレーヴェン! 嬉しくなってむちゃくちゃ踊った。最高。ベスジャと併せて、最後に力技で満足させられて幸せだった。

以下は感じたこと。ばらばらメモります。

Rafven

見ていただくとわかるように、Rafven で始まって Rafven で終わったフジロックでした。タイムテーブルに掲載されている出演だけで6回を数える Rafven なんですけども、わたしの周りの人の目撃証言を総合すると最低でも9回は出演したもよう。
わたしの周囲が見てない分もあったと仮定すれば、10回以上のアクトを4日間で繰り広げ、最終日の 26:30 からパレスで演奏したあと、翌日には渋谷で、翌々日には新宿でインストアライブを行ったとか…とにかくライブしまくりで、なんだこれは?! と皆大興奮。演奏も大道芸の系譜にある感じでとにかく踊れる。もう、断然大好きになってしまった。
最終日、BASEMENT JAXX の途中で宿に戻ろうとしてたわたしたちは、ゲート裏側の「SEE YOU NEXT YEAR」の文字を見ながら場外へ出て、あー、終わっちゃったねえ、なんてしんみりしながら、駐車場のお店で最後に何か食べるものを買おうとしていたのです。そしたら、すぐ横にある公式 CD ショップのテントの前に座りこむ人たちの輪のほうから、「お待たせいたしました、それではこれより Rafven のミニライブをはじめます…」というアナウンスが聞こえたので、ぎえっとなって駆け出してしまったよ。れえべん? れえべんて言った今? みたいな。
前夜祭に出演した時点から、「どれだけライブやるのだか」「ここまで来たらさすがに一度は見てやらねば、どの Rafven を見よう?」なんて、冗談めかして皆でわいわい、タイムテーブル手に喋っていた。でも、最終日には論調が、「見に行かなくても Rafven は、勝手におしかけて来て楽しくしてくれる」みたいな感じになっていて、なんとも感激的な熱意に皆ヤラれてしまったという次第。
多分、今年フジに行った人はかなりの高確率で彼らにハートを射抜かれていると思います。「もう CD 買っちゃおうかなあ!」と拳を握ったら、夫が「え、フジ前に予習用に買ってあるよ?」と言ったので笑いました。日本でたくさん CD 売れてるといいなー、ほんでまた日本に来てほしい!

ライブ

腰をすえて1つのアクトをずっと観る、ということは殆どせず、主に移動をしながら、場合によっては立ち止まって1〜2曲聴く、ということを繰り返してました。Green のアクトは清志郎以外、通りすがりに聴いたものばっかり。でもそれで正解だった気がする。あまりに混んで身動きが取れなくなりそうなアクトは観たくても諦めたし(サニーデイとか)、本編始まったら夕方に一度宿に帰って HP のチャージを図り、風呂にまで入ったりもした(風呂入ると足がすごい楽になるので)ため、その時間確保のために諦めたアクトもあった(ZAZEN とか)。けど、それも後悔はしてない。
せっかくの場なので、いろんなバンドをちょっとずつ聴いて「こういう感じなのだなあ、へえ」と思ったりしつつ、体力のない中年がダウンして周囲の子たちに迷惑をかけないよう、自制、自律を心がけたという感じ。何かをがっつり観ることより、期間中、全体的にまんべんなく元気に楽しめることを最優先に考えた。
なので、まあいろいろ観られなかったものはあるんですが、これでよかった気がしてます。サニーデイの時間にゴンドラ乗って、ヘブンにぎっちり人が詰まっているのを眺めてうへえ、って笑ったのも楽しかったよ。

前夜祭と1日めはがっつり降られてすごかった。ここ数年、こんなにしっかり降ってなかったらしいんだけど、今回、前半2日は豪雨レベル。わたしは上下セパレートになってるレインウェアを真面目に買って行っていたし、クロックスの長靴も持参していたので、装備的には支障はなく、なにくそという感じでむしろ燃えていました。
1日めの夜、クラムボンを観るためにヘヴンに向かったとき、ボードウォークの周囲の木の隙間からだんだんと光が漏れてきて、ある地点まで来たら、ミラーボールに反射する直線的な光が四方に伸びて、その光の帯で細かい雨の粒と、霧みたいに煙る水蒸気が照らされているのがばっと視界に飛び込んできて、あまりの美しさに魂が抜けそうに。このときヘヴンまでの移動時間を見誤り、アクト開始45分も前に着いてしまったことで2時間のアクトの半分くらいまでしか保たなかったりもしたのですが、でもこの45分間、雨の粒がぼつぼつと体に当たる感触をレインウェアごしに感じながら、椅子に座ってロータスカフェのうんまいコーヒーを、両手で持ちながらふうふう飲んでクラムボンの登場を待っていた感覚は、ちょっと言葉にしがたい体験だった。
あんな風に自分の「体」の存在や状態を意識したことはあんまりなくて、ライブが始まった後も、ステージ上部の木の枝を組み合わせたオブジェに当たるライティングと、その光がステージ背後の樹木の葉の緑を照らして、枝と枝の重なりのグラデーションに落ちる影がすごくきれいで、PA ブースの小屋の上部に吊るされていたミラーボールが、ステージからのわずかな光を反射して、その小さな光が自分の足元でゆらゆら揺れていることに気付いてため息が出たり、誰かがやけくそで吹いたシャボン玉が濡れた地面にくっついていつまでも震えているのがすごくかわいらしかったり、自分や周囲の人の吐く息や身体から蒸気がもうもうと上がっていたり…なんというか、ものすごく感覚が研ぎ澄まされていた気がする。とても、とても珍しい体験をしたなあと。
ステージ上のライティングの中、クラムボンの3人は自在に音を鳴らしていたけど、そのライトの色が細かい雨でくすんで見え、曇りガラスの向こうの光景のようにぼんやりと色味が広がって、夢を見てるみたいな気持ちになって、大好きな「波よせて」で蕩けるような心地を味わえたから、最後まで見なくても大丈夫だなあ、と途中で帰ってしまったくらいでした。体も冷えて内臓がシクシクし始めていたのでね。「ナイトクルージング」を聴きながら、雨粒と戯れて歩くなんて出来すぎ。本当に楽しかった。
…あ、そういえば帰京後、帰宅中の地下鉄の中で向いの席に座っていた男性が、「今年は仕事で行けなかった」「雨でざまあ見ろって感じ」と、これ見よがしに大声でフジの話をしていて、多分わたしと夫がいかにもフジ帰りだったからなんだろうけど、なんだかなあ、と思った。現地でも2日めの宿戻りの時点で、駐車場のところでだっこしている子供に「なんで雨が降ってほしいの?」と訊ねられ、「もう帰んなきゃいけないでしょ? だから最後まで見られる人が困ったら気分いいじゃない」と説明している男とかもいて、雨になればすべてが台無しとでも言わんばかりの言い草に呆れたというかなんというか。もぐもぐ。
確かに、雨の中で食べたカレーはどんどん薄まったし、ルヴァンの黒ごまチーズパンのゴリゴリの食感がどんどん柔らかくなっていったりもしたよ。でも、それも含めて楽しかったんだよ。そんなに悪いことばかりではないんだぜ、雨。まあ、それも宿が比較的近かったから言えることなのかもしらんが。

宿、交通手段

そう、宿が近かったのです。ゲートから徒歩20分程度。シャトルバスの発着場からもちょっと歩く程度だし、近くによろず屋(フジ会期中は24時間営業)があって飲み物やお酒やおやつやアイスや雑貨(絆創膏とかタオルとか靴下とか生理用品とか)も買えるし、昼間もお風呂入らせてもらえるし、お風呂のお湯はしっかり熱くて気持ちよかったし、すごく助かった。
ここは夫が何年か前に泊まってから毎年お世話になっているところで、友達たちで行く人数を取りまとめて、残りの人数については宿シェア募集をかけてたんだけど、シェアした人たちは車シェアで来ている人も多くて、話を聞いてたら、条件合うところが見つかったら便利そうなことが分かって面白かった。
というか、宿シェアもして思ったんだけど、フジはなんか、フェスに対する愛情が深い人同士なら、協力体制がすごくうまくゆくようなマジックがあるっぽい。フジがすき、ってことを共通項として、そこで快適に過ごすための協力を惜しみなくし合う、って感じが新鮮だった。車シェアなんてその最たるものという感じだなあ。
行く前は、わたしはその雰囲気に対して苦手意識を持っていて、フジマンセーな空気に溶け込めないのでは…と思っていたんだけど、行ってみたら愛情を持っている人たちが蓄積してきた知識のおかげで助かったことが多く、おかげですごく楽しくすごせた。わたしは夫と友達たちがフジを大好きで、連れて行ってくれた、という感じだったからよかったんだけど、彼らがいなければ、わたしの性格ではきっと、斜めに見たまま、誰かに教えてもらおうともせずに行っちゃって、全然楽しめなかったんではという気がします。皆に感謝だなあ。
往復、わたしたちは新幹線だったんだけど、帰りは湯沢の駅から家に着くまで2時間半切ってたし、自分らには新幹線が合ってたかなと。車の場合は車シェアとか、確か去年は夫たちは茨城のりょうくんちのほうまで始発で移動して、かなり早くに出発してたし、そうやって同じようにフジを楽しもうとしてる人たちが集まるのであればいいんだろうけど、駐車場遠いと時間のロスが大きくてつらいだろうなあという気がする。
2日めだけ来た初フジのお友達が、7時半出発で神奈川から車で来て、駐車場からシャトルで会場に来るまでに全部で8時間かかったとか聞くと、なんかのコツが要るのかなあという気もするし、そのコツは慣れてる人から伝授される以外にうまく掴めないもののような気もする。あと、別の2日めだけ来たお友達はオフィシャルのツアーバスで往復して、行きも帰りも温泉入ったりしていい感じだったらしく、そういうのもありなんだなあと思いました。今後1日だけ行きたくなったときとかはいいかも。
ま、いずれにしても、フジを好きな人はフジを楽しむための方法を知ってるから、宿にしても交通手段にしても、行くならそういう人にいろいろ教えてもらったほうが楽しめる確率が上がる気がした。またなぜか、フジを好きな人は、新たにフジに来る友達に優しいというか、いろいろ教えてくれたがる人が多い気もするので。そういうのに乗ったほうが楽しい、絶対。そういうフジの独特のノリを斜めに見たままだと楽しさのほうも全然近寄って来てくれない気がしました。

食べ物

これもまた、夫とお友達たちの知識や経験の蓄積に頼り、いつも混んでいて食べるのが大変だというヘヴンの石焼ピザも、ところ天国の天国バーガーのチーズバーガーも、タイミングの見極めと協力体制によっておいしくいただいて大変に満足。ハイジカレーが食べられなかったけど、まあそれはそれだよ。
他にもいろいろおいしいものがあったけど、とうもろこしのうまさは忘れがたい。ルヴァンのパンやロータスカフェのオーガニックコーヒーが堪能できたのも嬉しかった。苗プリのアップルパイも納得のうまさだったなあ、あれは別のプリンスホテルでも食べられるのでしょうか…(じゅるり)。

ドラゴンドラ

夫から散々聞いていたのだけど、乗ってみたらたのしすぎて結局3日間毎日乗っちゃった! アハハ! しかし山頂が晴れていたのは2日めのみ、あとの2日は霧を抜けて極寒の山頂へ降り立ってぼんやりしただけでした。外でやっているはずのイベントとか何もなし。
それでも1日めはレストランに入ってトイレに行ったりしていたら、一角で歌のおにいさんこと、真心の桜井さんの弾き語りライブが始まったので大喜び、続いてあやしい3人組のライブ…と思ったら、そこで「悪天候のためゴンドラの運転を中止します。すぐに下山してください」とアナウンスされ、まさかの下山命令! とげらげら笑いながら降りました。
2日めに晴れた状態で上がったら、下がよく見えすぎて怖かったなあ、風強かったし。途中で差しかかる渓流が、1日めはカフェオレみたいな濁流になっていて、そこに波しぶきの白い色が映えてきれいだなあ、なんて思っていたら、2日めにはすっかり澄んでいて、自然てすごいなと思いました。3日めは霧でもう見えなくなっていたけどね…。
山頂で大縄跳びとか顔ハメとか、いろいろバカっぽい遊びができるはずらしいんですが、そんな訳で、悪天候も相まって、あまりいろいろ堪能はできなかった。着ぐるみのカラス氏と写真撮ってもらったくらいかな? だから桜井さんの弾き語りが一番印象深かったです。
でも、霧がどんどん流れて、その中に自分たちの乗ったゴンドラがぐーっと吸い込まれてゆく感覚は忘れがたいものであったよ。前のゴンドラも見えないくらいの霧。きれいだった。あの乗り場までの傾斜のキツさがなければもっといい…と言いたいところだけど、まあ、あれも思い出のひとつという感じかな、いつもホントに息切らして大変でしたけども。

清志郎のやつ

ちょうど夕暮れから日没くらいの時間で、いろいろ出来すぎな感じがあった。
最初にスクリーンに自転車で苗場に向かう清志郎の映像が流れて、「田舎へ行こう」が流れたあと、ステージに日高さんが登場した。感極まってしどろもどろになりながら紹介すると、泉谷しげるが出てきて、へったくそなギター、へったくそな歌で、「シュー」を歌って、あんまりみっともなくて、あんまり必死で、観ていて泣けた。
Booker T. を招いての Steve Cropper の「in the Midnight Hour」は、野音でのライブを収録したライブ盤「the Tears of Clown」の1曲目だったなあ、と思ったら、高校時代を思い出してやっぱり泣けた。
改めて NICE MIDDLE with New Blue Day Horns を紹介したあと、「BIG WELCOME BACK 忌野清志郎」の文字がガーンとスクリーンに出て、執事がマイクを使って清志郎を呼び込むとゆー従来のライブの構成で始まった「Jump」では、清志郎のステージ映像を流しながら、清志郎のヴォーカル音声に合わせた演奏が行われていて。なんてことするんだろう、こんな風に「清志郎だけがいない」ってことをつきつけるなんて、と思ったら涙が止まらず。苗場に清志郎の声が響いているのに本人はいないなんて。ホントに、もうぐちゃぐちゃに泣いた。
チャーがあまりにもチャーだった「ロックンロールショー」、ダンサーが奥さんだったなんて知らなかったなあ。YO-KING浜崎貴司の「デイドリームビリーバー」は歌詞が染みて大変、「ずっと夢見させてくれてありがとう」。あとで知ったけど、YO-KING はジャケットを着てステージに上がっていたらしいじゃないか。泣かす。トータス松本の「baby 何もかも」も、ちゃんとトータスの持ち味も出して、丁寧に丁寧に歌っていて気持ちに刺さった。UA の「スローバラード」なんて、キーが違うだけでブレスからフェイクから完コピに近く、なのにちゃんと UA のうたとしても成立しているとゆー奇跡がすごかったなあ。ヒロトマーシーの「Remenber You」もよかった、2人がハモって清志郎のことを歌ってるみたく聞こえて。「キモチ E」には、武道館の復活祭でトリくんがちょう喜んでたのを思い出してまた泣けた。
チャボの「いいことばかりはありゃしない」では、普段、清志郎が歌っている曲の中のワンフレーズをチャボが歌う、っていう、そのワンフレーズを三宅に託して、清志郎が歌うべきほかの部分を全部チャボが歌っていて、それがまた、清志郎はいないんだなあということを物語ってしまっていてつらかった。LeyonaChara の「君が僕を知っている」にもチャボが参加していたけど、ゲストの2人よりやっぱり、この曲はチャボと清志郎の曲なんだよなあ…って思えてしまって、この2人の存在感が全然感じられなかったりもした。
最後の「雨上がりの夜空に」も、やっぱり清志郎の映像と一緒に皆が歌うという形で。夕方に一度降った雨も上がっていたけど、空を見上げても星は見えなくて、なんというか…ステージ上に人がたくさんいるのに、ものすごく、ものすごく寂しかった。
清志郎が苗場に帰ってきた」とか「あのステージには清志郎もちゃんといた」とか、一切思えなかったし、そういう気休めを言う人のセンスを疑うけども。でも、グリーンはステージが死角になる PA ブース裏はいつも空いているので、友達たちはそこで観ていたらしく、ブースの背中に設置されたスクリーンで映像を見ていると、ステージの様子は見えずに音だけ聴く形になるから、本当に清志郎が歌っている風にしか思えなかった、って言っていた。それは本当に言葉通りで、とても切ないことだなあと思う。
あの場に清志郎がいるという風に見せる演出だったんだろうけど、それが結果的に、彼の不在を再度確認して、認めるしかないような、そういう機会になってしまっていた。意図せず喪の仕事としての機能を果たしていたとでも言いましょうか、清志郎の近くにいた人たちが、彼の死を受け入れて、彼のいない世界で生きてゆくための区切りをしているというか、ファンに区切りをつけるための機会を設けたというか。うまくいえないんだけど、三宅やチャボがあの1時間半、どんな気持ちであのステージに立っていたのか、清志郎のマイクの位置を空けて演奏していたのか、とか、そういうことを考えると、一番嬉しくて一番つらかったのは彼らなんだろうという気がする。だから、ライブじゃなかったんだろう。セレモニーだったんだなあ、きっと。
まだうまいこと気持ちの整理ができていないのだけど、清志郎はいない、ってことが、頭だけでなく、目とかの身体やハートにようやく染みて来た感じがしました。あの1時間半をどのよーに踏まえるか、多分、わたしはこの先考えてゆくんだろうと思う。すごく愛情に満ちているのに、重い思いとさみしさをもらってしまった時間だったなあ。正直、泣きすぎて疲れたよ。

「きちゃった」

2日めの朝、Birthday をほどほどにして山頂に上がったら、弾丸のようにぶつかってくる人がいて、びっくりして振り向いたら、満面の笑みで「おつかれちゃーん」というりょうくんがいてびっくりした。
というのも、新婚のりょうくんは今年はフジに行かない、というのが長らくネタになっていたくらいだったからです。お小遣い貯めて1日だけ来たんだって。びっくりだよ。
事前に誰にも知らせずにいきなりやって来て、ライブを 1 つも観ることなく真っ先に山頂に上がるりょうくんがひどすぎて笑った。前夜の恋バナで片思い中の女子に、雨の夜に「きちゃった」ってやるしかない! なんて無責任なことを言っていたら、りょうくんが「きちゃった」をやったという。笑うしかない。

イヤだったこと

フジは子連れが多いフェスだとは聞いていた。んだけど、実際ホント多くてびっくりした。特に前夜祭と1日めはがっつり雨が降っていたので、そんな中でベビーカーにビニールの覆いをして泥の中や、石がごろごろ転がっている山道を転がしている親の多さにモヤっと…。
子供産んだことがないので、フジにまで子供を連れて来る人の気持ちは分かるべくもないんですけども、子供にも音楽とかフェスとかを好きになってほしいのか、子供にも早くから本物の音楽を味わわせたいのか、ただ単に子供がいても自分がフジを楽しみたいっていうだけなのか…理由はいろいろあるんだろうけど、24時近くまでベビーカー転がしてる人を見る度、それがいいことだとはどーしても思えなかった。
実際に行ってみて、特にしっかり雨に降られたから思うけど、フジは大人にとってもそれなりに過酷な環境で、でも大人だからそれを楽しんだりもできたってことなんだと思ったし。幼児には楽しいこと少ないんではないかな、と思わないでもないし、なんか、大人が楽しんでる場所に子供連れて来るのって無粋な感じ…? とも思いました。何もフジ連れてこなくても、子供と一緒に楽しめるところたくさんあるんじゃないのかなあ。うーん。
2日めの JET のときだったか、グリーンの音聞きながら一旦宿戻ろうとしていたわたしは、ホワイトからグリーンに戻るときに通る物販テントの傾斜の手前らへんで、腕組みしているお父さんの横で、子供をだっこしたお母さんが「何がそんなにいやなの?」と声を荒げて訊いているのを見かけたんだけど、子供はべそをかきながら「音がうるさいの…」って言っているのを見かけてしまい、う・わーん!! て走り出しそうになりました。2日めの23時過ぎ頃、シャトル駐車場までの道でぐずる子供を鋭角的な大声であやしながら歩いていたお父さんも、疲れ果てた周囲の人たちをイラっとさせる前に、もっと早くに宿に戻ってあげてほしかったなあと…。
いえ、ちゃんと混んだところを避けたり、早めに宿帰ったりしてた人たちが大半なのかなとも思うんですよ。でも、子供に無理させてるように見える親御さんばかりが目に付いてしまったのは事実で、ベビーカーのマナー最悪の人もたくさん目に付いて(まあ街中でもそうだけど)、うーぬとなりました。でもまあ、こんなこと書いてるわたしが、何年か後には子連れでフジ行ってたりしたら笑いますけどね!! あはは! は!
あと、子供関係なく、狭いボードウォークや混んでいる坂道で、無理に人を追い抜こうとする人はイヤだなあと思った。普段は結構せかせか歩くわたしですが、フジでは混んでいる道では絶対にあせらない、という風にスイッチが自然に切り替わりました。それくらいでちょうどよかったっていう体感。皆早く移動したいのは一緒だもん。
それと、傘さしてる女には何度か殺意を覚えたよ、混んでる道だと危ないし、何より場内では禁止なのに、ひとりだけ平気でさしてる神経が好かん。そういう女に限って雨具も不十分で、長めの髪を垂らしていたりするので、結わこうよ! て思った。降らないかもしれなくったって、皆、荷物増えるのを厭わず雨対策してきている訳で、それをしないでおいて、いざ降ったら濡れたくないから傘をさす、て居直りにもほどがあると思う。
なんか全体的に、フジでは抜け駆けみたいなことをする人がすごい目立つ気がしたな…そういう人が多いってことなのか、他の人が自律的にルール守ってるってことなのか。よく分かりませんが、フジは RIJF とかに比べて「いろんな人がいる」てことを実感できるフェスだったと思うし、そこが楽しくもあったけど、ずるいことをする人も許容すべきだって話ではないとも思った。

そんな訳で

ホントに楽しく、つらい思いもせずに過ごしてしまったよ。あんまライブ観てないんでは、という疑惑はありますが、そんな気は最初からしてたのでいいのだ。一日2回ずつ風呂に浸かり、うまい空気の中、もりもりごはんを食べ続けながら、ぐるぐる歩き回った4日間でした。楽しかったス!