東京 JAZZ Gala Night/国際フォーラム A ホール(2009.09.04)

3年前、人見講堂での衝撃のセッション→ id:oolochi:20061208:p4 をご一緒したお友達がチケット取ってくれたので一緒に行って来た。終わったらごはんでも食べるんだーい、とか思ってたのに、3組でなんと終演23時。でも、お腹は減っても胸いっぱい、小鼻膨らませながら帰って来ました。はふーん。
矢野さんとひろみちゃんの演奏は21:50頃からで、金曜だし、こっちもかなりヘロヘロになっていたから、ちゃんと聴けるかしら、大丈夫かしら、なんて思ってたけど大杞憂だった。聴く側の状態の違いもあるかもなんですが、3年前よりさらにすごくなっていて、一瞬の気の逸れも許さないくらいのテンションで1時間ちょっと駆け抜けた感じ。ううう、思い出しただけでもなんか、甘ったるいきゅーんてした感じで身体がぐずぐずってなる…!
あの1時間のすごさを言葉にする術はなくて、ただもうひたすら、一発目の「そこのアイロンに告ぐ」から最後の「ラーメンたべたい」まで、2台のピアノが織り成す不穏なうねりにぐるんぐるん脳みそかきまぜられた感じ。矢野さんはピアノ+歌でものすごい力を発散する訳ですが、ひろみちゃんは歌わない分2倍も3倍もの音と休符を駆使しまくり、かかとを鳴らし、ピアノの音を拾うマイクにまで入るくらいの声を上げて、時には立ち上がって、グランドピアノの弦を押さえてミュートしたりまでして(…してたよね? 角度的に直接は見えなかったけど)、とにかく暴れまくってた。
なんか、3年前に観たときは確か、京都まで行ってみやこ音楽祭で「ごはんができたよ」聴いて号泣した5日後とかだったので、いつも以上に矢野さんに思い入れている状態で、ひろみちゃんに対しておわわー、すんごいねー、なんて思ったくらいだったんですが、今回はもーひろみちゃんにやられた、恋に落ちたー。だって、あんな野性と知性ぶち込んだ演奏、好きになっちゃうに決まってる! よ! あの細っそい身体のどこにあんなエネルギーがあんのかってゆーくらい、一分の隙もない「音楽」そのものだったなあ。ぽわわわわん。
そう、なんというか、ひろみちゃんの演奏は隙間をぷっりぷりした瑞々しい音の粒で埋めて行く感じ、矢野さんは歌とピアノで隙間を揺らしてぐにゃーって気持ちのいいグルーブを作ってゆく感じ。どっちもすごい「音楽」なんだけど、両方がぶつかり合うとなんかもう、るつぼ、だった。いろんな音があっちこっちでぶつかり合って、うねって、はねて、なだれて、またうねって、と大変あわただしくスリリングで息もつけない。鳴ってる和音はものすごく複雑なんだけど、きたない和音は絶対に鳴らず、しかもめまぐるしく変化してゆく中で、大事なところで意識をきゅって引っ張られるような緊張した一音が一瞬だけあらわれたりして。もうねえ、何が何だか分からない、けど、最高に気持ちがいい、という恍惚の一時間でした。この夜は、頭の中に音の粒がうわんうわんして全然寝付けなかったです。
演奏を始める瞬間までのこの2人を観ていると、お母さんとおてんば娘のようなほんにゃかした雰囲気なのに、いざピアノの前に座って目を合わせた瞬間、ひろみちゃんてすんごい目をするのんですよね。矢野さんはいつも、しゅってピアノに向かってやさしい顔して弾き始めて、弾いてるうちにどんどんすーっとした清らかな顔になってゆくんだけど、ひろみちゃんはじわじわーっと笑ってくる。嬉しい、楽しい、気持ちいい、っていうのが、我慢できなくてあふれてくるみたいな感じで笑うのがまた、ね、かわゆいんだよね…!(ハアハア)
…と、あれこれ書いても全然追いつかない、というか、届かない。あの時間の密度は言葉になんか絶対置き換えられない。とにかく、最高に幸せでした。去年出た矢野さんのアルバム「akiko」のうち、わたしは「Evacuation Plan」がいっちばん大好きなんですが、去年のさとがえるは結婚式の直後でいろいろへとへとすぎてチケット無駄にしてしまい、生で聴けなかった。その曲を、あんなハードな連弾で聴けてとろけました。えへへ。
5年後でも10年後でも、また2人で日本のステージに立ってほしい。そのときには万難排して駆けつけたいと思います! 押忍!