もやしもん(1)〜(8)/石川雅之

もやしもん(8) (イブニングKC)

もやしもん(8) (イブニングKC)

あらら、書影が帯なし…! 8冊分全部載せてもしょうがないので最新刊だけ。
今更ながら既刊を通読。というのも、「モテキ」読みたさに買ったイブニングで断片的に読んでいたビール編が面白く、夫が8巻を買ってきたので読んだらとても面白く、夫が持っていた1、2巻を読んだらもっと面白く、夫が買い揃えた他の刊ももりもり楽しんだという次第。
通して読んだら、なんであんなに人気があるのかよーく分かりました。女の子と蛍と菌たちがとにかくかわいいかわいい!(ん?)中でも菌たちのかわいさは異常、オリゼーとかもうもう…! 女の子たちのキャラクターとルックスと服装に、作者の趣味なんだろう偏りが見られるのも、信念ある感じで嫌いじゃないし、樹教授のキャラとか、人気出るのホント分かるなあと思った。なんか、もやしもんの同人誌が多い、ということを前提知識として知って読んでいたら、途中までなんでだろ? と首を捻ってましたが、蛍が戻ってきた瞬間に理解しました。そうか、蛍と沢木の関係性か…! 蛍が沢木に対して持っている感情がはっきりしてない感じはあるけど、そこが隙間になって、思うがままに妄想できていいんでしょうなあ、フランス編の打ち上げで亜矢さんのバーに行ったとき、マリーの話を聞いた蛍が沢木を殴るシーンとかすんごいよかったです。ニヤニヤしちゃった。フフフ。
沢木が主人公なのに影が薄いっていうのはホントそうで、8巻該当分のビール編だけ読んだ時点では、沢木ってダレ? って感じでしたわたし。ごめーんなさーい。だってこの漫画、柱の登場人物紹介がアレじゃないですか…途中から読んでも実際にどんな人なのか、登場するシーンが少ないとわかんねえよ、みたいな。でも1巻から読んでったら、すごい沢木が好きになったなあ。かわいいよねえ沢木、いい子だと思うなあ。美里さんの男前度合いが日に日に増していっているのも笑っちゃうけど、美里さんと長谷川の関係性の変化とかすごくいい。舞台が農大っていう自給自足、地産地消的な特徴からか、大学がもう独立国家みたいな閉じた社会になってるからっていうのもあるんだろうけど、媚薬騒動のときも含め、あんまり人間関係がただれていない感じですよね。そこがおとぎ話みたいでほほえましい。
それから、やっぱり農大が舞台だからってことだと思いますが、菌と食がテーマになっているがゆえに、「人生のよろこび」としての食について考えさせられる内容になっているところがいいなあと思います。8巻最初に読んでいいなと思ったのって、「ビールは人を幸せにする」っていうテーマに打たれた部分があったからで。わたし自身、ビールそんなに好きじゃないんだけど、でも、オクトーバーフェスタの写真の見開きの絵はすごく素敵だと思ったな。ああいう絵でちゃんと感動させられるだけの画力があって、それを正当な「よろこび」の表現に活かしているところがたまらない。全般通して、とても根源的な人間の「よろこび」について描かれていて、その「よろこび」を知る人たちが出て来ているから、登場人物も全員いとしいし、読んでいてすごく気持ちがいいし。素敵な漫画だなーと思いました。
あと、遊び心が徹底している、というのも確かにすごいし、柱の人物紹介とかすごいし、収穫祭の教授選リターンマッチとか、くだらないネタの多さもほほえましい。そもそも帯の細工やカバー下の漫画、特装版の存在とか出張宣伝とか、なんか色々おかしいだろう、ってくらいに懲りすぎててつくづく見事。一番笑ったのは腸内フローラのために決起する菌たちが三国志みたいになってたときだなあ。バカか! と、ホントにお茶を噴きました。あと、「カリブの黄色いジュゴンちゃん」てあだ名にも噴いた。いろいろひどい。
なんとなく、人気あるからって斜めに見てた部分もあったんだけど、読まないままにしないでよかったです。先日出たイブニングで100話達成、でもまだ物語は1年の秋、っていう恐ろしい進み方ですが、この先もじっくり、丁寧に描いていってほしい。続き読むのが楽しみです。